2014年08月20日
バーンスタインのガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー 、他(新盤)
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これは素晴らしい超名演だ。
このうち、ラプソディ・イン・ブルーについてはバーンスタインによる旧盤(1958年)との優劣を比較することは困難を極めるが、それ以外の諸曲については、それぞれの楽曲の演奏史上トップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。
バーンスタインは、かつてニューヨーク・フィルの音楽監督の時代には、いかにもヤンキー気質の爽快な演奏の数々を成し遂げていたが、ヨーロッパに拠点を移した後、とりわけ1980年代に入ってからは、テンポは異常に遅くなるとともに、濃厚でなおかつ大仰な演奏をするようになった。
このような芸風に何故に変貌したのかはよくわからないところであるが、かかる芸風に適合する楽曲とそうでない楽曲があり、途轍もない名演を成し遂げるかと思えば、とても一流指揮者による演奏とは思えないような凡演も数多く生み出されることになってしまったところだ。
具体的には、マーラーの交響曲・歌曲やシューマンの交響曲・協奏曲などにおいては比類のない名演を成し遂げる反面、その他の作曲家による楽曲については、疑問符を付けざるを得ないような演奏が目白押しであったように思われる。
本盤に収められた楽曲はいずれも米国の作曲家によるものであり、それだけにバーンスタインの晩年の芸風がいずれもプラスに作用しているのではないだろうか。
ガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーについては、途轍もない超名演であった旧盤(1958年)と比較すると、テンポが遅くなるとともに濃厚な表情づけがなされているが、同曲特有の軽快なリズム感においてはいささかも損なっておらず、いい意味での円熟の名演に仕上がっていると言えるところであり、旧盤との優劣は容易にはつけられないのではないかと考えられる。
コープランドの2曲については、バーンスタインとしても自家薬篭中の作品であり、あたかも水を得た魚のような生命力溢れる力強さと濃厚な表情づけがうまくミックスされた素晴らしい名演に仕上がっていると評価したい。
その演奏の彫りの深さなどを考慮すれば、今後ともこれ以上の演奏を成し遂げるのは困難を極めると言えるだろう。
バーバーの弦楽のためのアダージョは、おそらくは同曲演奏史上最も遅いテンポをとっているのではないかとも考えられるが、その濃厚で彫りの深い表現は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な凄みのある名演である。
そして、自作自演でもある「キャンディード」序曲に至っては、まさにバーンスタインの独壇場。
同曲特有の躍動するようなリズム感と彫りの深い濃厚さが一体となった稀有の名演と言えるだろう。
音質については、従来盤でも十分に良好なものであったが、今般のSHM−CD化によって、若干ではあるが音質が鮮明になるとともに、音場が幅広くなったように思われる。
バーンスタインによる至高の超名演をSHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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