2014年10月29日
カラヤン&ベルリン・フィルのサン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
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本盤に収められたサン・サーンスの交響曲第3番は、カラヤンによる唯一のスタジオ録音である。
カラヤンは、同曲をコンサートで採り上げたことも皆無であることから、レコーディングのためにのみ演奏したということにもなる。
この当時のカラヤンは70代の半ばに達していたが、同曲のほか、ニールセンの交響曲第4番やR・シュトラウスのアルプス交響曲など初録音が目白押しであり、カラヤンの老いても衰えない音楽に取り組む前向きな姿勢に心から頭が下がる思いがする。
同曲の独墺系指揮者による演奏は、カラヤンによる本演奏以外には現在でも皆無であるところだ。
その意味でも、本演奏は極めて希少価値のある存在なのであるが、音楽評論家の評価は押しなべて低いと言わざるを得ない。
確かに、同曲の数々の名演は、フランス系の指揮者によるものが多く、そうしたフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいのある演奏からすれば、本演奏は極めて異質な演奏ということになるだろう。
加えて、本演奏の当時は、カラヤン&ベルリン・フィルの黄金コンビがその最後の輝きを放った時期でもある。
分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていた。
カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、流麗なレガートを施すことによっていわゆるカラヤンサウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。
本演奏など、かかる圧倒的な音のドラマの最たるものであり、オルガンの壮麗な迫力も相俟って、サン=サーンスの交響曲第3番という大運動場で、ベルリン・フィルが大運動場全体を使って運動しているようなイメージの演奏と言えるのかもしれない。
重厚で華麗なカラヤンサウンドも、同曲においてはいささか場違いな印象を与えると言えるのかもしれない。
しかしながら、これだけの圧倒的な音のドラマを構築することによって、同曲演奏史上空前のスケールと壮麗な迫力を有する演奏を成し遂げたと言うことも可能であり、聴き終えた後の充足感においては、他のフランス系の指揮者による名演と比較しても何ら遜色はない。
いずれにしても、筆者としては、本演奏はカラヤン&ベルリン・フィルによる異色の名演として高く評価したいと考える。
録音は、リマスタリングがなされたこともあって従来盤でも十分に満足できる音質である。
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