2014年09月07日

マゼール&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲全集


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桁外れのレパートリーの広さと膨大な数のレコーディングを誇るマゼールであるが、本盤に収められたマーラーの交響曲全集は、マゼールによる唯一のものである。

マゼールほどその芸風を変化させた指揮者は、ワルターなど殆ど少ないと言えるが、本盤の録音当時のマゼールは、1960年代の前衛的で先鋭な演奏を繰り広げていたマゼールが1970年代から1980年代初頭のいわば中だるみの時期を経て、ベルリン・フィルの次期芸術監督を狙って再び野心的な演奏を繰り広げ始めた時期に相当する。

この時期のマゼールの演奏のすべてが素晴らしいとは言い難いが、それでもベルリン・フィルと録音したブルックナーの交響曲第7番や第8番など、今なおその価値をいささかも失うことのない素晴らしい名演の数々を生み出していたのも事実である。

本全集のメリットは、何と言っても全曲ともにオーケストラにウィーン・フィルを起用したことであろう。

個別の交響曲をウィーン・フィルと録音した例はそれまでにも何度もあったが、全曲に渡ってウィーン・フィルを起用した全集は本盤が初めてであり、その後も現在に至るまで皆無であると言える(DVD作品としてバーンスタインの全集があるが、第2番はロンドン響、大地の歌はイスラエル・フィルであった)。

いずれにしても、ウィーン・フィルならではの極上の美音が演奏全体を支配しており、これを聴くだけでも本全集の価値は高いと言えるのではないかと考えられる。

そして、マゼールのアプローチであるが、テンポが実にゆったりしているのに大変驚かされる。

バーンスタインやテンシュテットのようにドラマティックな劇場型演奏ではなく、むしろ曲想を丁寧に掘り下げて描き出していくという趣きがある。

しかしながら、随所に、いかにもマゼールならではの仕掛けが施されており、前述の中だるみの時期の演奏に時として聴かれたある種のあざとさが感じられないわけではないところだ。

もっとも、ウィーン・フィルの懐の深い美演が、そのようなあざとさを感じさせる箇所を解きほぐし、演奏全体として格調の高さを損なっていないというのが素晴らしい。

その意味では、ウィーン・フィルに始まって、ウィーン・フィルで終わるという演奏と言えるのかもしれない。

したがって、本全集をファーストチョイスとしてお薦めするというのはいささか気が引けるが、ある程度マーラーの交響曲を聴き込んだ熟達した聴き手には、マーラーの交響曲の違った魅力を発見することが可能な演奏として、一聴の価値のある全集と言えるのではないかと考える。

また、本全集に交響曲「大地の歌」が含まれておらず、マゼールは本全集に併せて録音を行わなかったようである。

マゼールは、その後、バイエルン放送響と同曲を録音(1999〜2000年)しているが、演奏はイマイチであることから、せめて本全集に併せてウィーン・フィルと録音しておけば、もう少しいい演奏を行うことが可能であったのではないかとも考えられるところであり、大変残念な気がするところだ。

録音は、1980年代のスタジオ録音であり、従来盤でも十分に通用する素晴らしい音質である。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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