2014年08月23日
セル&クリーヴランド管のドヴォルザーク:交響曲第8番 スラヴ舞曲第3番&第10番[SACD]
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本盤に収められたドヴォルザークの交響曲第8番の演奏は、セルが亡くなる直前の録音であり、セル&クリーヴランド管弦楽団による2度目のスタジオ録音ということにもなる。
本演奏は、前回の演奏(1958年盤)を上回るのみならず、一世を風靡したこのコンビによる最高の名演の一つであり、古今東西の同曲の数ある名演の中でもトップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。
私見ではあるが、本名演に比肩できるのは、クーベリック&ベルリン・フィル盤(1966年)とカラヤン&ウィーン・フィル盤(1985年)だけではないかと考えている。
セルは、クリーヴランド管弦楽団を徹底的に鍛え抜き、セルの楽器と称されるほどの超一流の楽団に仕立て上げたことで知られている。
したがって、このコンビによる全盛時代の演奏は、特定の楽器が目立つということは殆どなく(これは、セルが最も嫌ったことであった)、オーケストラ全体が一つの楽器のように聴こえるような精密なアンサンブルによる精緻な演奏を誇っていた。
ただ、あまりの演奏の精密さ故に、スケールもやや小型であり、いささか融通の利かないメカニックとも言うべき演奏も多々見られたと言わざるを得ないところだ。
そのようなセルも最晩年になると、鉄壁のアンサンブルを維持しつつも、クリーヴランド管弦楽団の各団員により自由を与え、伸びやかな演奏を行うようになってきたところであり、それに併せて演奏のスケールも大きくなっていった。
本名演は、そのような一連の流れの頂点にある演奏と言えるのではないかと考えられる。
セルは本演奏においても曲想を精緻に描いてはいるが、フレージングが実に伸びやかである。
そして、どこをとっても情感の豊かさに満ち溢れており、スケールも雄渾の極みと言える。
これはまさに、ドヴォルザークやスメタナ、ヤナーチェクなどのチェコ音楽を心から愛した巨匠が最晩年になって漸く到達し得た至高、至純の境地であると言えるのではないだろうか。
併録のスラヴ舞曲第3番及び第10番も、ドヴォルザークの「第8」と同様の素晴らしい完熟の名演だ。
音質は、従来盤が今一つ冴えない音質で問題があり、リマスタリングを施してもさほどの改善が図られているとは言い難かった。
ところが、今般、シングルレイヤーによるSACD盤が発売されるに及んで大変驚いた。
音質の鮮明さ、音圧、音場の幅広さのどれをとっても、これまでの既発CDとは段違いの素晴らしさであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。
いずれにしても、セルによる至高の超名演を超高音質のシングルレイヤーによるSACD盤で味わえることを大いに歓迎したい。
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