2014年08月24日
ブーレーズ&クリーヴランド管のドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、夜想曲、交響詩<海>、イベリア
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ブーレーズによるドビュッシーの管弦楽曲集と言えば、1960年代後半にクリーヴランド管弦楽団やニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮した名演(1966〜1968年)がいの一番に思い浮かぶ。
それは、各管弦楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くすとともに、一切の主観や情感を排した前衛的とも言える斬新な演奏であった。
本盤に収められた演奏は、それから20年以上の期間を経て行われた録音であるが、ブーレーズは随分と丸くなったというのが第一印象だ。
これは、ドビュッシーに限らずに、他の作曲家の楽曲における演奏についても言えることであり、1990年代に入ってDGに行った録音にはすっかりと好々爺となったブーレーズによる円熟の演奏を聴くことが可能である。
もっとも、そこは腐ってもブーレーズであり、何も万人受けをするような通俗的な演奏をするようになったわけではない。
むしろ、スコアリーディングについては深化したと言えるところであり、徹底したスコアの読み込みによって、楽想をあたかもレントゲンで撮影するかのように、楽想を精緻に描き出していくというアプローチ自体には何ら変わりがないところだ。
もっとも、かつては一切を排していた情感の豊かさが付加されたところであり、これがブーレーズの近年の演奏の円熟ぶりであり、はたまた魅力の一つであると言えるだろう。
本演奏においても、ブーレーズは徹底したスコアリーディングに基づいて楽想を精緻に描き出しているが、情感の豊かさにおいてもいささかも不足はなく、いい意味での剛柔バランスのとれた名演に仕上がっている点を高く評価したい。
なお、とある影響力のある高名な音楽評論家が本盤を徹底的にこき下ろしているが、かかる罵詈雑言に右顧左眄することなく、信用できるのは自分の耳だけであるということを肝に銘じておきたいものだ。
録音は従来盤でも十分に満足できる音質を誇っていたが、今般のSHM−CD化によって音質がより鮮明になるとともに、音場が幅広くなった。
ブーレーズによる円熟の名演を、SHM−CDによる鮮明な高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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