2014年08月25日
カラヤン&ベルリン・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第10番(新盤)
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カラヤンがショスタコーヴィチの15曲ある交響曲の中で唯一演奏・録音したのは第10番のみだ。
その理由は定かではないが、オイストラフがカラヤンに、第10番をショスタコーヴィチの交響曲の中で最も美しい交響曲だと推薦したという逸話も伝えられている。
また、最も有名な第5番については、カラヤンがムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの豪演を聴いて衝撃を受け、2度と指揮しないと誓ったとの説もまことしやかに伝えられている。
そうした逸話などの真偽はさておき、カラヤンは第10番に相当の拘りと愛着を抱いていたようで、スタジオ録音を2度(1966年及び1981年)、モスクワでのライヴ録音を1度(1969年)行っている。
いずれも素晴らしい名演であるが、演奏の完成度と言う意味においては、本盤に収められた1981年盤を随一の名演と高く評価したいと考える。
本演奏でのカラヤンは、一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを駆使して、曲想を徹底的に美しく磨き抜く。
加えて、ここぞという時のトゥッティの迫力も凄まじいもので、雷鳴のようなティンパニのトレモロは、殆ど悪魔的ですらある。
金管楽器や木管楽器のテクニックも桁外れで、分厚い弦合奏の揃い方は圧巻の技量だ。
これは、間違いなく、オーケストラ演奏の極致とも言うべき名演奏であり、かつて、レコード芸術誌において故小石忠男先生が使っておられた表現を借りて言えば、「管弦楽の室内楽的な融合」と評価したいと考える。
同曲の音楽の内容の精神的な深みを追求した名演と言うことになれば、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの名演(1976年盤)を第一に掲げるべきであるが、筆者としては、これだけの徹底した音のドラマを構築したカラヤンの名演との優劣は、容易にはつけられないのではないかと考えている。
録音は、1981年のデジタル録音ということもあって、本盤でも十分に満足し得る音質である。
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