2014年08月27日
デュ・プレ&バレンボイムのドヴォルザーク:チェロ協奏曲、森の静けさ
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ドヴォルザークのチェロ協奏曲と言うと、同曲を何度も録音したロストロポーヴィチによる演奏がいの一番に念頭に浮かぶ。
遺された録音はいずれ劣らぬ名演であるが、とりわけ、カラヤン&ベルリン・フィルと組んだ演奏(1968年)は、指揮者とチェリストががっぷり四つに組んだ絢爛豪華な超名演として、現在においても同曲演奏史上最高の名演としての地位を譲っていないと考えている。
このように、ロストロポーヴィチによる数々の名演の印象があまりにも強い同曲であるが、録音がやや冴えないという難点はあるものの、演奏内容だけをとれば、デュ・プレによる本演奏は、前述のロストロポーヴィチによる1968年盤にも十分に対抗し得るだけの名演と評価できるのではないだろうか。
それは、デュ・プレによる渾身の気迫溢れる力強い演奏によるところが大きく、彼女は持ち前のスケールが大きく伸びやかな歌い回しを駆使して、このドヴォルザークの名作に生命力がほとばしるような大熱演を繰り広げている。
本演奏は1970年のものであるが、これはデュ・プレが不治の病を発症する直前の演奏でもある。
デュ・プレが自らをこれから襲うことになる悲劇的な運命を予知していたのかは定かではないが、本演奏には何かに取りつかれたような底知れぬ情念のようなものを感じさせるとも言えるだろう。
いや、むしろ、我々聴き手が、デュ・プレをその後襲った悲劇を思って、より一層の深い感動を覚えるのかもしれない。
それにしても、本演奏における切れば血が出てくるような圧倒的な生命力と、女流チェリスト離れした力感、そして雄渾なスケールの豪演は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な迫力を誇っており、このような命がけの体当たりの大熱演を繰り広げていたデュ・プレのあまりにも早すぎる死を惜しむ聴き手は筆者だけではあるまい。
かかるデュ・プレの驚異的なチェロを力強くサポートした、当時の夫であるバレンボイムとシカゴ交響楽団も、最高のパフォーマンスを発揮している点を高く評価したい。
録音は、従来盤ではやや鮮明さに欠ける音質であったが、HQCD化によってかなり音質の改善がなされたように思われる。
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