2014年10月12日

バルビローリ&ニュー・フィルハーモニア管のマーラー:交響曲第5番 リュッケルト歌曲集(ベイカー)[SACD]


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マーラーの交響曲第5番は、今やマーラーの交響曲の中でも最も人気が高く、なおかつ演奏機会の多い作品となっていると言えるのではないだろうか。

それにはCD時代になって1枚に収録することが可能になったことが大きく作用していると考えられるが、それ以上に、オーケストレーションの巧みさや旋律の美しさ、感情の起伏の激しさなど、マーラーの交響曲の魅力のすべてが第5番に含まれていると言えるからに他ならない。

したがって、第5番については、これまで数々の海千山千の大指揮者によって個性的な名演が成し遂げられてきたが、特に、圧倒的な名演として高く評価されているのは、ドラマティックで劇的なバーンスタイン&ウィーン・フィル(1987年)やテンシュテット&ロンドン・フィル(1988年)による名演である。

これに対して、本盤に収められたバルビローリによる演奏は、それらの劇的な名演とは大きくその性格を異にしている。

もちろん、軟弱な演奏ではなく、ここぞという時の力強さに欠けているということはないが、演奏全体がヒューマニティ溢れる美しさ、あたたかさに満たされていると言えるだろう。

また、バルビローリは、テンポの思い切った振幅を効果的に駆使して、同曲が含有する各旋律をこれ以上は求め得ないほど徹底して心を込めて歌い抜いているが、その美しさには抗し難い魅力が満ち溢れている。

第4楽章などは、意外にも速めのテンポで一聴するとあっさりとした表情づけとも言えなくもない。

しかしながら、よく聴くと、そうした速めのテンポの中で各旋律を徹底して歌い抜くなど耽美的な絶対美の世界が構築されており、これはかのカラヤン&ベルリン・フィルの名演(1973年)にも比肩し得る美しさを誇っているとも言えるが、カラヤンの演奏が圧倒的な音のドラマであるのに対して、本演奏はヒューマニティ溢れる人間のドラマと言えるのではないだろうか。

もっとも、バルビローリのヒューマニティ溢れる指揮に対して、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団は、熱演ではあるもののアンサンブルの乱れが見られるなど、必ずしも技術的には万全な演奏を展開しているとは言い難いが、技術的に優れていたとしてもスコアに記された音符の表層をなぞっただけの演奏よりは、本演奏の方がよほど好ましいと言えるところであり、聴き終えた後の感動もより深いと言えるところだ。

いずれにしても、本演奏は、バルビローリが遺した数少ないスタジオ録音によるマーラーの交響曲の演奏の中でも、ベルリン・フィルとの第9番(1964年)と並ぶ至高の超名演と高く評価したい。

併録のリュッケルト歌曲集もベイカーの名唱も相俟って素晴らしい名演に仕上がっている。

音質は、従来CD盤が今一つの音質であったが、数年前にリマスタリングが施されたことによってかなりの改善がみられたところであり筆者も当該リマスタリング盤を愛聴してきた。

ところが、今般、シングルレイヤーによるSACD盤が発売されるに及んで大変驚いた。

音質の鮮明さ、音圧、音場の幅広さのどれをとっても、これまでの既発CDとは段違いの素晴らしさであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

いずれにしても、バルビローリによる至高の超名演を超高音質のシングルレイヤーによるSACD盤で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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