2023年01月27日

👤今日での人気交響曲に発展🔶成長していく過程での先駆けとなった👴🏻ショルティのR.シュトラウス:アルプス交響曲🏔️シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲


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R.シュトラウスのアルプス交響曲は、1970年代の半ば頃までは作曲者と個人的な親交があったベームや、史上初めて交響曲・管弦楽曲・協奏曲全集をスタジオ録音したケンぺによる録音に限られていたところである。

ところが、1979年にショルティ、そして1980年にカラヤンによるスタジオ録音が発売されるに及んで、一大人気交響曲の地位を確立した。

演奏に相当の困難を要する交響曲であることから、各地のオーケストラの技量が格段に向上してきたということもある。

それ以上に、CD1枚に収まる長さであることから、LP時代に存在した中間部での鑑賞の中断が全く不要になったことが極めて大きいと言えるのではないかと考えられるところだ。

このように、ショルティによる本演奏は、今日での人気交響曲に発展成長していく過程での先駆けとなったものであるが、演奏自体は、他の演奏と比較して特異な性格を有している。

おそらくは、本演奏は、同曲演奏史上最速と言ってもいいのではないだろうか。

同曲は、日の出から登山、登頂、下山、夕暮れといった情景描写を中心とした標題音楽であるが、ショルティは、こうした情景描写には特段の配慮を行っていないのではないかとさえ考えられるところだ。

1年後のカラヤンの演奏と比較すると、例えば、嵐の前の描写にしても、カラヤンがゆったりとしたテンポで精緻に描き出しているのに対して、ショルティはそれこそ、嵐の前に既に嵐が来ているようなハイスピードで嵐に突入していく。

したがって、同曲の標題音楽としての魅力を希求するクラシック音楽ファンには全くお薦めすることができない演奏であると言えるだろう。

しかしながら、同曲には、作曲者R・シュトラウスによって「交響曲」という標題が付されているのであり、いわゆる絶対音楽として捉えるという考え方に立つとすれば、ショルティのアプローチは十分に説得力がある演奏であると考えられる。

こうしたショルティのアプローチは、その後、爆発的に増加した同曲の演奏には全く受け継がれていないが、現在においても再評価がなされてもいいのではないかとも考えられる演奏である。

同曲の演奏に際して、シカゴ交響楽団ではなくバイエルン放送交響楽団を起用したというのも、ショルティが同曲を単なるオーケストラ演奏の醍醐味を堪能するだけの楽曲として捉えていなかったことの証左であると考えられるところだ。

また、本盤には、シェーンベルクの管弦楽のための変奏曲が収められている。

同曲は、アルプス交響曲以上に演奏困難な曲であり、同曲の歴史的なスタジオ録音を遺したカラヤンでさえ、ある時期からはコンサートで採り上げるのをやめたほどの楽曲である。

ショルティは、手兵シカゴ交響楽団を統率して、技量面においては完璧とも言うべき演奏を展開している点を高く評価したい。

音質は、いずれも英デッカならではの極めて秀逸なものであり、本盤の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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classicalmusic at 15:18コメント(0)ショルティ | R・シュトラウス 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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