2022年12月18日

完全主義者として知られ⏺️レコーディングに厳しい姿勢で臨んだ👹鬼才ミケランジェリ最高のアルバム🎼ラヴェル:ピアノ協奏曲🎹ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番


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これは素晴らしい名演だ。

鬼才とも称されたミケランジェリは完全主義者として知られ、それ故にレコーディングには厳しい姿勢で臨んだことから、録音の点数は限られている。

その分、遺された録音はいずれ劣らぬ名演と言えるが、そうした名演の中でも、おそらくは本盤こそは、その中でも最高のアルバムの一つと言えるのではないだろうか。

ミケランジェリは、超絶的な技巧はさることながら、その透明感溢れるピアノタッチには出色の美しさがある。

完全主義者故に、即物的な演奏をするとの印象を与えがちであるが、本盤の両曲の演奏を聴くと、むしろイタリア人ピアニストならではの歌心溢れる情感豊かな演奏をも行っていたことが理解できるところだ。

特に、ラヴェルのピアノ協奏曲の第2楽章のこの世のものとは思えないような極上の美しさは、ミケランジェリだけに可能な至高の表現と言えるところであり、抗し難い魅力に満ち溢れている。

この第2楽章と両端の第1楽章及び終楽章との表現の対比は実に巧みであり、卓越した技量も相俟って、同曲の様々なピアニストによる名演の中でもトップの座を争う至高の名演に仕上がっていると高く評価したい。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番は、若書きの第1番は別として、有名な第2番や第3番と比較すると、不当にも目立たない存在に甘んじているが、本演奏を聴くと、本演奏以外に名演に恵まれなかったことが原因ではないかとも思われるところだ。

それほどまでに、本演奏の優秀性はずば抜けたものがあると言えるだろう。

ラフマニノフの楽曲特有のロシアへの望郷の念に根差したメランコリックな抒情と、ラフマニノフとしては稀とも言える近現代音楽としてのある種の革新性が、同曲には併存していると考えられるが、ミケランジェリは、テンポの効果的な振幅などを駆使して、同曲の魅力を見事に描き出すのに成功している。

いずれにしても、本演奏こそは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番の真の魅力を十二分に表現し得た唯一の名演と高く評価したい。

指揮者のエットレ・グラチスは殆ど無名の存在であるが、本盤の両曲の演奏では、ミケランジェリの卓越したピアノ演奏を引き立てつつ、フィルハーモニア管弦楽団をしっかりと統率して、持ち得る実力以上のものを発揮した稀代の名演奏を展開していると評価したい。

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classicalmusic at 16:10コメント(2)ミケランジェリ | ラヴェル 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年12月18日 21:22
評価では無く, ミケランジェリのラフマニノフ演奏に関する故吉田秀和氏の面白い逸話を紹介します。ご承知の様に, ミケランジェリは著名な2, 3番を避けて4番だけを録音しています。その理由を吉田氏が聞くと, 彼は[第2, 第3の協奏曲は作曲者自身が演奏したレコードが有るのだから, 私たちが弾く必要が無い。ただ第4の演奏は何故か余り調子が良くないから, 私たちが弾いても良いのではないかと考えたからだ。]と述べたそうです。ミケランジェリのラフマニノフに対する敬愛の念に加え, 彼の美感が良く表れた考えだと感じます。
2. Posted by 和田   2022年12月18日 21:53
存じております(笑)。ミケランジェリ37歳時の録音です。1957年にイギリスを訪れた際に録音した初のステレオ録音で、ラヴェル、ラフマニノフともにミケランジェリ唯一の録音になります。ラヴェルはまだしも、ラフマニノフは4曲中最もマイナーな第4番という奇抜な選曲はご指摘の通りでいかにも奇才ミケランジェリらしいですね。ラヴェルは、今なおハッとするような感覚をもたらしてくれる演奏で、両端楽章を完全無欠のテクニックで圧倒したかと思うと、第2楽章では絶妙のアゴーギグで揺さぶりをかけて翻弄します。そのしたたかな表現力は単に奇を衒ったものではなく、緻密で巧妙な頭脳的プレイでありながら、それをごく自然に聴こえさせてしまう至芸なのです。冴え冴えとしたタッチの中には玄妙な味わいがあり、鋭利な音運びの中に繊細なうつろいがあります。知的で人工的な音楽でありながら、その精巧な美しさで聴き手の血を泡立たせるような魔力を、ミケランジェリのピアノは持っているのです。ラフマニノフにおけるヴィルトゥオジティにも感嘆させられます。一見煩雑な内容の超絶技巧曲と思われる作品が、別曲と見紛うほど理路整然と聴こえてきます。ヴィルトゥオジティと知性、そして強烈な彼の個性を痛感させる演奏です。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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