2014年09月13日
チェリビダッケ&ベルリン・フィルのブルックナーの交響曲第7番[DVD]
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巨匠チェリビダッケがベルリン・フィルを指揮した唯一の映像として知られるブルックナーの交響曲第7番がようやく登場した。
1992年3月31日と4月1日の2日間、ベルリンのシャウシュピールハウスで行われたコンサートは、当時のヴァイツゼッカー大統領直々の計らいで実現したもので、1954年以来38年ぶりにチェリビダッケが、この間関係が決裂していたベルリン・フィルの指揮台に復帰するという意味で特別な出来事であった。
こうした背景もあって会場が異様な空気に包まれるなか、やがて演奏が開始されてゆくのであるが、ここでの全曲86分を超える演奏時間は、数あるチェリビダッケによるブルックナーの7番のなかでも破格に長大な部類に入るもので、アダージョに至っては30分を超える時間をかけてたっぷりと歌い抜かれており、まさに耽美的というほかないその美観はあらためて稀有の巨匠の個性的な芸風を強く印象づける形となっている。
38年ぶりにベルリン・フィルを振ったチェリビダッケの指揮と、それに食らいついて行っているという雰囲気のベルリン・フィルの演奏で、なんとなく両者の間に、しっくりいっていないようなニュアンスは見られるものの、さすがにその演奏は圧倒的である。
筆者は特にチェリビダッケのファンというわけではないが、それでもこの演奏を見ると(聴くと)『これがチェリビダッケのブルックナーなのだ』と納得させられてしまう。
あのゆっくりとしたテンポとセンチメンタルになることを嫌う演奏は、最初のトレモロから聴く側の心を捉えて離さない、終始、緊張感みなぎる素晴らしい演奏である。
これを見て(聴いて)筆者がまだ高校生の頃、NHKで放送されたチェリビダッケとミュンヘン・フィルの組み合わせの来日公演の模様を思い出した。
他の指揮者に比べると、確かにテンポは非常にゆっくりしているが、映像で見るとそれが1つ1つの音をしっかりと歌わせているのがわかり、感動した覚えがある。
久しぶりに、どっしりとしたブルックナーを聴くことが出来た。
また、ドキュメンタリーでリハーサル風景が映し出されているが、チェリビダッケの傲慢な態度にちょっと曳いてしまった。
彼は楽団員から畏敬の念は抱かれているかもしれないが、必ずしも愛されてはいないのではないか、そんな思いがした。
楽団員から愛される小澤征爾やアバドの謙虚さとは対照的なリハーサル風景であった。
いずれにしても、貴重な映像であり、チェリビダッケの若い頃の様子を知ることもできる興味深いDVDである。
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