2014年09月12日

サヴァリッシュのシューマン:レクイエム、ミニョンのためのレクイエム


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ドイツ・ロマン派の権威でもあるサヴァリッシュが、シューマンの演奏機会の少ない作品で見事な演奏を聴かせる。

最近までほとんど聴かれることのなかったシューマンの「レクイエム」だが、40歳を超えたころに作曲された美しい曲であり、こうした曲に光を当てるあたりは、さすがにサヴァリッシュの見識と言えそうだ。

モーツァルトやフォーレの同名作品と比べても見劣りするどころか、こちらのほうが魅力を湛えているように感じられる部分がたくさんあって、仰々しい音で飾り立てるのでなく、情熱の限りをぶつけるわけでもない。

特に『怒りの日』における、モーツァルトやヴェルディのような性急なテンポで荒々しい表現をとるのではなく、じわじわと運命の日が歩み寄ってくるかのような神秘的な表現としたのは素晴らしいの一言。

シューマンのこの分野の作品に急速に光が当てられるようになってきたのは、現代というあらゆる分野での感覚の解放が進み、先入観やタブーが取り払われ、狂気や彼岸など未知の領域に新しい感覚の冒険を敢行したシューマンの音楽の革新性が理解される条件がようやく整ってきたからであろう。

このCDでもサヴァリッシュの演奏は、これら2曲のもつ異空間感覚の魅力を、透徹した感覚の冴えと緻密な分析力で驚くほど明晰かつ色彩的に浮かび上がらせている。

サヴァリッシュは、合唱の各声部を巧みにコントロールし、声の色合いを微妙に変えながら、ふと現れる深い淵のような静かな響きも交え、うねりのような名演を展開する。

歌手陣も一貫して充実したかがやきのあるひびきを示している。

特にクレー指揮の〈レクイエム〉以来2度目の挑戦であるヘレン・ドナートは、シューマンの演奏に必要な熱っぽさと高貴さとを失わず、見事に歌い上げている。

彼女にとって初めての〈ミニョン〉も期待にそむかぬ歌いぶりで、彼岸との触れ合いに戦慄する魂の高揚を聴き手に伝えてくる。

バイエルン放送交響楽団、合唱、独唱のメンバーは一体となってサヴァリッシュ指揮のもと、全体に風格のあるスケールの大きな演奏を実現している。

そして、シューマンのこれら晩年の作品が、一部の通好みだった秘曲としてのヴェールをぬいで、現代に呼吸する作品となったのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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