2014年09月14日
ミュンシュのベルリオーズ:レクイエム(新盤)
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今は亡き巨匠ミュンシュは、その生前フランス音楽を得意としていたが、特にベルリオーズ協会の会長を務めていたこともあり、ダイナミックな情熱と確固とした構築感を併せ持ったベルリオーズ解釈の第一人者として高い名声を誇っていた。
この「レクイエム」は、そんなミュンシュのベルリオーズ作品録音の中でも最高の名盤とされているものであり、その色彩の豊かさと宗教的雰囲気が絶妙のバランスを保っている。
ここでのミュンシュは、曲を徹底的に無機的な音符の還元をした上で、その音に与えられた純粋な音楽的な質量をもとにして音楽を再構成しようとする。
極端な言い方をするなら、彼は「レクイエム」という衣装を無視して、その裸の本質をいわば1つの純音楽として表出しようとする。
ミュンシュの長所である的確きわまりないデュナーミクの感覚がそれを支え、可能にしている。
バイエルン放送交響楽団の大編成管弦楽による圧倒的な音場が、さらにこの音楽の体質を再現するのに適している。
ミュンシュの表現はやや剛直だが、バイエルン放送交響楽団の威力は素晴らしく、ことに金管楽器は、ベルリオーズの音楽の華麗さをよく引き出し、聴き手を陶然とさせる。
このオケの適度の荒々しさと素朴な情熱が、ここでは水を得た魚というべきであるし、コーラスが何よりもしっかり歌っているのに敬意を表する。
特に第2曲〈怒りの日〉や第4曲〈おそるべき力もて王〉、第6曲〈涙の日よ〉が圧巻だ。
巨大な作品だけに、演奏の完璧性は求め難いが、この演奏は、ベルリオーズの音楽の本質に迫った気迫溢れる世紀の名演である。
ミュンシュには手兵ボストン交響楽団との録音もあるが、このバイエルン放送交響楽団との録音では客演ならではの緊張感に満ちた演奏が繰り広げられている。
シュライアーの若き日の歌唱も注目される。
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