2014年09月16日

スクロヴァチェフスキ&ザールブリュッケン放送響/ベートーヴェン:交響曲全集


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卓越したオーケストラ・ビルダーとしての手腕を発揮し、ザールブリュッケン放送交響楽団をドイツ屈指のオーケストラに育て上げたスクロヴァチェフスキのベートーヴェン交響曲全集の登場だ。

ギュンター・ヴァントや朝比奈隆亡き後ブルックナー指揮者として高い評価を受けている巨匠スクロヴァチェフスキのベートーヴェンは、ベーレンライター版を使用しているせいもあるが、非常に切れ味の良い颯爽とした若々しい演奏である。

年輪を重ねた枯淡な味わいとは一線を画するエネルギッシュな演奏でもあり、また同時にため息が出るくらいに巧い演奏である。

精緻をきわめたサウンド、余情を排した快速テンポによる進行の中に満載された情報量には圧倒されるばかりで、長いキャリアに裏打ちされた語彙の豊富さはもちろん、時代考証まで視野に入れてそれらを自由自在に操る手腕の冴えはまさに完璧で、さすがスクロヴァチェフスキというほかはない。

いわゆるモダン楽器による伝統的なアプローチにおける典型的なスタイルで貫かれているが、オリジナル楽器によく聴かれる先鋭的なサウンドとモダン楽器の豪華なサウンドが非常にいいかたちでマッチしたサウンドである。

疾走するテンポや躍動するリズムの素晴らしさは言うまでもないが内声部を強調した立体的な音作りは非常に特徴的で新鮮な音が堪能できる。

つまり歯切れが良い演奏であり、かつ重厚でしっかりとしたサウンドで、現代における理想的なベートーヴェン像がここにある。

さらにこの録音では前述のように内声部が良く聴こえる演奏で、音楽に深みと多重性を感じさせる演奏になっていて、縦割りしたような強靭な推進力とこの明晰な見通しの良い演奏が特徴的である。

そこへきてザールブリュッケン放送響の重厚な音色とサウンドであるのにもかかわらず、明快でエネルギッシュな演奏であり、主観的な深い精神性などは皆無で、極めて即物主義的な雰囲気をもっている。

トスカニーニやセルなどと同じ系譜に立っているように感じられるところでもあり、流れていく旋律が非常に太いのであるが決して音楽が停滞しない。

よく聴くと、とにかく端整で整然とした演奏であり、この「端整」と「整然」の極地が品格を持った「抒情性」というものであるのだろう。

折り重なっていく音とそれを形成する構成などという音楽の感覚を横のラインで捉えていく手法というよりも、サウンドは非常に太く重厚であるのにもかかわらず指揮者は絶えず音楽を縦方向からの視点で捉えているところに発生する微妙なバランス感覚があり、非常に新鮮である。

長年手塩にかけたアンサンブル、ザールブリュッケン放送響の高度な実力は言うまでもないところであるが、ここではバイエルン放送合唱団の技量も素晴らしく、オケともども見事に透明な響きを聴かせてくれる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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