2014年09月15日
セル&クリーヴランド管のドヴォルザーク:交響曲第7番、他
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セル&クリーヴランド管弦楽団によるドヴォルザークやスメタナの楽曲の演奏はいずれも素晴らしい。
古典派とならんで、民族色の強い作品もセルは得意としていたが、本盤はチェコ音楽の父と言われるスメタナと、彼と並んで同国を代表するドヴォルザークという組み合わせで、その持ち味を堪能できる。
全盛時代のセル&クリーヴランド管弦楽団は、各楽器セクションが一つの楽器のように聴こえるような一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを誇ったことから、「セルの楽器」とも称された完全無欠の演奏を展開していたところであるが、1960年代半ば頃までの演奏は、そうした完全無欠の演奏が、ある種の技量に偏ったメカニックな冷たさを感じさせたのも否めない事実であるところだ。
そのようなセルも1960年代後半の最晩年に差し掛かると、クリーヴランド管弦楽団の各奏者にも一定の自由を与え、芸風により柔軟性が垣間見られるようになったところであり、円熟の味わい深い名演奏を成し遂げるようになった。
もっとも、ドヴォルザークやスメタナなどのチェコ音楽については、何故か1960年代半ば以前の演奏においても、そうした晩年の演奏にも比肩し得るような情感豊かな味わい深い演奏を行っていたところである。
これは、ドヴォルザークやスメタナなどのチェコ音楽には、セルの母国であるハンガリーの隣国の音楽ということもあり、セル自身が深い愛着と理解を有していた証左と言えるのかもしれない。
本盤に収められたドヴォルザークの交響曲第7番や序曲「謝肉祭」、そしてスメタナの歌劇「売られた花嫁」からの抜粋である序曲、フリリアント、ポルカの各演奏においてもそれは健在であり、表面上は鉄壁のアンサンブルを駆使した完全無欠の演奏でありつつも、各フレーズの端々には、前述のようなチェコ音楽への深い愛着と理解に根差した豊かな情感が込められていると言えるところであり、いずれも味わい深い素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。
特にドヴォルザークの第7番では、堂々たる重厚な響きの両端楽章と、優美で味わい深い緩徐楽章や民族色溢れる軽快な舞曲の楽章を見事に描き分け、壮大に全曲を締め括る貫禄の名演を披露している。
ちなみに、セルは、この第7番を1度しか録音しておらず、この演奏は、1960年というかなり古い音源のものであるが、本盤は最新の「マスター・サウンド」技術で作られており、弱音部での若干のノイズを除けば、音質は明らかに大幅に改善されており、ほとんど古さを感じないまでになっている。
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