2014年09月21日
カラヤン&ベルリン・フィルのワーグナー:序曲・前奏曲集
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カラヤンは様々なジャンルの音楽に名演を遺してきたが、その中でもオペラは最も得意の分野であった。
そうしたカラヤンのオペラのレパートリーの中でもワーグナーは重要な位置を占めていたが、録音運に恵まれていたかと言うと、必ずしもそうとは言い切れない面がある。
舞台神聖祝典劇「パルシファル」、楽劇「ニーベルングの指環」、そして楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、カラヤンならではの至高の名演と言えるが、他のオペラは、歌手陣などに条件が整わなかったこともあって、カラヤンの本領が発揮されたとは言い難い状況にある。
それ故に、本盤のように、ワーグナーのオペラの序曲や前奏曲を集めた録音は大変貴重である。
カラヤンは、本盤の前後にも同様の序曲・前奏曲集を遺してはいるが、カラヤン&ベルリン・フィルの全盛期を考慮すると、本盤こそが、最高の名演と高く評価すべきものと考える。
カラヤン&ベルリン・フィルの全盛期の演奏はそれは凄いものであった。
うなりを上げるような低弦をベースとした弦楽器群の豊麗かつ重厚な響き、悪魔的とも評すべき抜群のテクニックを示すブラスセクションのブリリアントな響きや木管楽器の美しい響き、雷鳴のように轟きわたるティンパニの響きが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、いわゆるカラヤン・サウンドと称される極上の美を誇る名演奏を繰り広げていた。
これまでのオーケストラが成し得た究極の音のドラマを構築していたとも言えるところであり、本盤の各序曲や前奏曲等の演奏も、そうした全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルによる圧倒的な音のドラマが構築されていると言っても過言ではあるまい。
冒頭の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の第1幕への前奏曲の堂々たる進軍は、シュターツカペレ・ドレスデンとの全曲録音(1970年)よりもこちらの方の出来が上であるし、歌劇「さまよえるオランダ人」序曲の緩急自在のテンポ設定を駆使した演奏は、いかにも演出巧者らしいカラヤンの真骨頂である。
また、楽劇「ローエングリン」の第3幕への前奏曲の力感溢れる演奏は圧巻の迫力を誇っており、我々聴き手の度肝を抜くのに十分だ。
さらに、歌劇「タンホイザー」序曲の壮麗にしてスケール雄大な演奏は、全盛期のこのコンビだけに可能な超名演である。
そして、楽劇「ローエングリン」の第1幕への前奏曲や楽劇「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲と愛の死の官能的な美しさは、おそらくはオーケストラが紡ぎ出すことが可能な究極の美を表現し得ているとも言えるところであり、美しさという点においては、おそらくは古今東西のあらゆる名演に冠絶する最美の超名演と高く評価したいと考える。
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