2014年09月21日
クーベリック&ウィーン・フィルのモーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」; ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1971年ライヴ)
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1971年8月13日、ザルツブルク祝祭大劇場でのステレオ・ライヴ録音で、2大名曲を取り上げた有名なコンサートを完全再現したディスクである。
1950年代から60年代初頭にかけて英デッカ、EMIにかなりの録音を残したクーベリックとウィーン・フィルの共演は、この演奏会の後、DGへベートーヴェン:交響曲全集の第7番の録音が行われたのを例外として途絶えてしまった。
そのようなこともあって、両者の相性の悪さが指摘されることもあるが、この演奏会は総じて素晴らしいものである。
ウィーン・フィルのエレガントな味と、クーベリックのハッタリのないストレートな表現が見事にマッチして、バイエルン放送響との演奏にはないクーベリックの違った魅力を堪能できる。
前プロ『ジュピター』からしてウィーン・フィルの美言が聴きもので、クーベリックならではのストレートな表現とウィーン・フィルのエレガントな音色がかみ合った美演を聴かせている。
しかし注目はなんと言っても『エロイカ』で、名高いベルリン・フィルとの録音を上回るほどの風格を持った力演。
第1楽章から気宇壮大で巨大でありながらも、各パートが立体的で非常に彫りが深く、力強い音楽を響かせているのはまさに大指揮者の棒である。
第2楽章はこの上なく沈鬱に進められているが、一昔前のオーケストラの、何ともいえない節回し(木管楽器)が聴ける。
特にヴィブラートが抑えられたオーボエが素敵で、そのすばらしい歌い回しに陶然としてしまう。
一転、フーガの部分における激情ぶりには凄まじいものがある。
第3楽章は力点が明確でメリハリが効いており、トリオでのウィンナ・ホルンも味わい濃厚だ。
第4楽章での狙いすました音楽運びと雄大な表現も、この指揮者の実演での魅力が十二分に発揮されており、コーダの激しさも特筆ものだ。
クーベリックはセッション録音とライヴでは全く違った顔(激情型に大変身する)を見せる典型的な指揮者だと再確認させられたところであり、そこがまた魅力でもあるのだ。
録音は、両曲冒頭に若干の機材ノイズが混入しているが、音質は概ね良好で、クーベリックの激しい足踏みも随所でキャッチされていて臨場感も十分である。
交響曲好きには見逃せない大注目盤と言えるところであるが、なぜかこれほどの大名演が評論家筋の推薦本にはまず出てこないのが不思議でならない。
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