2014年09月24日
リヒテルのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(ヴィスロツキ)、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(カラヤン)
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本盤には、リヒテルによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が収められている。
このうち、ラフマニノフについては、初CD化の際には、プロコフィエフのピアノ協奏曲第5番とのカップリングであったと記憶している。
というのも、バックが同じヴィスロツキ&ワルシャワ・フィルであるからであり、協奏曲の演奏はピアニストだけでなく、指揮者やオーケストラがあってこそ成り立つことに鑑みれば、いくら人気曲どうしのカップリングとは言え、本盤のようなカップリングについては若干の疑問を感じざるを得ないことを冒頭に付記しておきたい。
演奏については、何と言ってもラフマニノフがダントツの超名演だ。
今から半世紀以上も前の録音ではあるが、現在でも同曲演奏史上最高峰の名演の地位を譲っていないのは驚異的ですらある。
本演奏では、とにかくリヒテルのピアノが素晴らしい。
同曲はロシア風のメランコリックな抒情に満ち溢れた名旋律に彩られた楽曲であるが、リヒテルは豊かな情感を湛えつつ、いささかも哀嘆調には陥らず常に格調の高い演奏を繰り広げている。
超絶的な技量は当然のことであるが、強靭な打鍵から繊細なピアニッシモに至るまで表現力の幅は桁外れに広い。
スケールも極めて雄大であり、その巨木のような雄渾さはあたかも悠久の大地ロシアを思わせるほどだ。
ヴィスロツキ&ワルシャワ・フィルの演奏も、いささかも華美に走らない飾り気のない演奏を展開しているが、その質実剛健とも言うべき名演奏は、リヒテルの素晴らしいピアノを引き立てるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
他方、チャイコフスキーについては、ラフマニノフのように同曲演奏史上最高の名演とまでは言い難いが、それでも名演との評価をするのにいささかの躊躇をするものではない。
指揮はカラヤンであり、オーケストラはウィーン交響楽団。
ベルリン・フィルではないのは残念であるが、これは契約の関係で致し方がなかったのかもしれない。
いずれにしても、これは典型的な競争曲になっている。
リヒテルとカラヤンという途轍もない大物芸術家どうしが火花を散らし合う演奏。
絢爛豪華なチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番だけに、実にスリリングで面白く聴くことが可能である。
カラヤンは、本盤のリヒテルのほか、ワイセンベルク、ベルマン、キーシンとともに同曲を録音しているが、ピアニストと対等な立場でいわゆる協奏曲の醍醐味とも評価し得る競争的な演奏を繰り広げたのは本演奏だけであったと言えるだろう。
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