2014年09月25日
ピアティゴルスキー&ミュンシュのドヴォルザーク:チェロ協奏曲、他
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本盤には、稀代の名チェリストであったピアティゴルスキーの遺産が収められているが、何と言ってもドヴォルザークのチェロ協奏曲の演奏が圧倒的に素晴らしい。
バックはミュンシュ&ボストン交響楽団であり、広範なレパートリーを誇ったミュンシュとしても、ドヴォルザークの録音はきわめて珍しいが、本演奏はそのようなことを感じさせない素晴らしい名演と高く評価したい。
何よりも、チェリストにピアティゴルスキーを起用したことが功を奏している。
ピアティゴルスキーは、フルトヴェングラー時代のベルリン・フィルの首席チェロ奏者をつとめるなど、一時代を築いた名チェリストではあるが、ロシア人ということもあり、「ロシアのカザルス」と例えられた割には名声においては後輩のロストロポーヴィチの陰にどうしても隠れがちである。
確かに、技量や力感においては、さすがにロストロポーヴィチにはかなわないかもしれない。
しかしながら、一聴すると無骨とも感じる演奏の中に深い情感や豊かな詩情が込められており、随所に聴かれるニュアンスの豊かさにおいては、ロストロポーヴィチにいささかも引けを取っておらず、「ロマンティック・チェリスト」と称されただけのことはあると考えられる。
また、ロストロポーヴィチは、技量があまりにも人間離れしているために、いささか人工的な技巧臭というものが感じられるきらいがないとは言えないが、ピアティゴルスキーのチェロは、あくまでも楽曲の美しさが全面に出てくるような演奏であり、聴き手によっては、ロストロポーヴィチよりも好む者がいても何ら不思議ではない。
このように、技量よりも内容重視のチェリストであるというのは、さすがはフルトヴェングラー時代のベルリン・フィルの首席チェロ奏者をつとめただけのことがあると言えよう。
ミュンシュは、フランス人でありながら、ドイツ語圏にあるストラスブールの出身であり、ドイツ風の重厚な演奏を数多く行ってきた指揮者でもある。
本演奏においても、ミュンシュは、ドイツ風とも言える重厚なアプローチを披露しており、質実剛健なピアティゴルスキーのチェロ演奏と見事に符号している。
まさに、指揮者とチェリストの息があった稀有の名演と言えるだろう。
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