2014年09月27日
サヴァリッシュ&シュターツカペレ・ドレスデンのシューマン:交響曲全集
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これは、サヴァリッシュによる最高のスタジオ録音と言えるのではないだろうか。
シューマンの交響曲全集の他の指揮者による様々な名演などと比較しても、上位にランキングされる素晴らしい名全集と高く評価したい。
大抵の全集の場合、4曲の交響曲の演奏の中には、どうしても出来不出来が出てきてしまうものであるが、本全集の場合は、各交響曲の演奏の出来にムラがなく、すべて高水準の名演に仕上がっているのが見事である。
もちろん、各交響曲の演奏それぞれについて見ると、それぞれにより優れた名演が存在しているのは否めない事実であるが、最大公約数的に見れば、本全集ほどに高水準の名演で構成されているものは、他にも殆ど類例を見ないと言っても過言ではあるまい。
このような名全集に仕上がった理由はいろいろとあると思われるが、第一に掲げるべきは、サヴァリッシュとシューマンの楽曲の抜群の相性の良さということになるのではないだろうか。
シューマンの交響曲は、必ずしも華麗なオーケストレーションを全面に打ち出したものではない。
むしろ、質実剛健とも言うべき、ある種の渋さを持った作品とも言えるところであるが、こうした楽曲の性格が、サヴァリッシュのこれまた派手さを一切排した渋みのある芸風と見事に符号するということではないだろうか。
サヴァリッシュは、交響曲全集の他にも、ミサ曲などにおいても名演を成し遂げていることに鑑みれば、こうしたシューマンの楽曲の相性の良さは本物のような気がしてならないところだ。
次いで、オーケストラがシュターツカペレ・ドレスデンであるということだろう。
東西ドイツが統一された後、東独にあった各オーケストラの音色もよりインターナショナルなものに変貌しつつあるが、本盤の演奏当時の1972年頃は、東独のオーケストラには、独特の個性的で重心の低い独特の音色を有していた。
こうした、当時のシュターツカペレ・ドレスデンの独特の音色が、シューマンの楽曲に見事に適合していると言えるところであり、ただでさえ素晴らしいサヴァリッシュによる演奏を、更に魅力的なものに仕立て上げるのに大きく貢献していると言えるところだ。
いずれにしても、本全集は、併録の「マンフレッド」序曲も含め、サヴァリッシュ&シュターツカペレ・ドレスデンによる最高の名演奏、最高のパフォーマンスがなされていると言えるところであり、前述のように、これまで多くの指揮者によって成し遂げられてきたシューマンの交響曲全集の中でも、上位にランキングされる素晴らしい名全集として高く評価したい。
音質は、1972年のスタジオ録音であるが、EMIにしては従来CD盤でも十分に合格点を与えることが可能な良好な音質であった。
また、数年前にはリマスタリングが施されるとともに、HQCD化がなされるに及んで、より一層良好な音質に生まれ変わったと聴感されるところであり、筆者としては当該HQCD盤を愛聴している。
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