2014年09月29日

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのチャイコフスキー:後期3大交響曲集


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本盤に収められたチャイコフスキーの後期3大交響曲集は、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルが、当時、鉄のカーテンの向こう側にあった旧ソヴィエト連邦から、西欧諸国への演奏旅行中に、ロンドン(第4番)、そしてウィーン(第5番及び第6番)においてスタジオ録音された演奏である。

録音は1960年であり、今から半世紀以上も前のものであるが、現在でもチャイコフスキーの後期3大交響曲集の様々な指揮者によるあまたの演奏にも冠絶する至高の歴史的な超名演と高く評価したい。

ムラヴィンスキーによるこれら後期3大交響曲集については、本演奏以外にも数多くの録音が遺されており、とりわけ第5番については本演奏よりもより優れた演奏も存在しているが、スタジオ録音であることによる演奏の安定性や録音面などを考慮すれば、本盤こそがムラヴィンスキーの代表盤であるということについては論を待たないと言えるところだ。

本盤の各曲の演奏においては、いずれも約40分弱という、史上最速に限りなく近い疾風の如き快速のテンポで演奏されており、その演奏自体の装いもいわゆる即物的で純音楽的なアプローチで一貫しているとも言える。

他の指揮者によるチャイコフスキーの演奏において時として顕著な陳腐なロマンティシズムに陥るということはいささかもなく、どこをとっても格調の高さ、そして高踏的で至高・至純の芸術性を失うことがないのが素晴らしい。

それでいて、素っ気なさとは皆無であり、一聴すると淡々と流れていく各フレーズには、奥深いロシア音楽特有の情感に満ち溢れていると言えるところであり、その演奏のニュアンスの豊かさ、内容の濃さは聴いていて唖然とするほどである。

木管楽器や金管楽器の吹奏にしても、当時の旧ソヴィエト連邦のオーケストラの場合は、独特のヴィブラートを施したアクの強さが演奏をやや雑然たるものにするきらいがあったのだが、ムラヴィンスキーの場合は、徹底した練習を繰り返すことによって、演奏をより洗練したものへと変容させているのはさすがと言える。

そして、これら木管楽器や金管楽器の洗練された吹奏は、ムラヴィンスキーの魔法のような統率の下、あたかも音符がおしゃべりするような雄弁さを兼ね備えているのが素晴らしい。

また、特に、第5番第2楽章のブヤノフスキーによるホルンソロのこの世のものとも思えないような美しい音色は、抗し難い魅力に満ち溢れている。

弦楽合奏も圧巻の技量を誇っており、とりわけロシアの悠久の大地を思わせるような、重量感溢れる低弦の厚みも強靭なド迫力だ。

加えて、その一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルは紛れもなくムラヴィンスキーの圧倒的な統率力の賜物であり、第4番の終楽章や第6番の第3楽章の弦楽器の鉄壁な揃い方はとても人間業とは思えないような凄まじさだ。

音質は1960年のスタジオ録音ながら、いまだに鮮度を保っているのも素晴らしい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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