2014年10月01日

ワルター&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第9番


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ワルターはマーラーの交響曲第9番の初演者である。

もっとも、初演者であるからと言って演奏が素晴らしいというわけではなく、晩年のコロンビア交響楽団とのスタジオ録音(1961年)は決して凡演とは言えないものの、バーンスタインなどの他の指揮者による名演に比肩し得る演奏とは言い難いものであった。

しかしながら、本盤に収められた1938年のウィーン・フィルとのライヴ録音は素晴らしい名演だ。

それどころか、古今東西の様々な指揮者による同曲の名演の中でも、バーンスタイン&コンセルトヘボウ盤(1985年)とともにトップの座に君臨する至高の超名演と高く評価したい。

筆者としては、もちろんワルターの実力について疑うつもりは毛頭ないが、本演奏が超名演になった要因は、多分に当時の時代背景によるところが大きいのではないかと考えている。

本演奏が行われたのは第二次大戦前夜、まさにナチスドイツによるウィーン侵攻が開始される直前のものである。

ユダヤ人であることからドイツを追われ、ウィーンに拠点を移して活動をしていたワルターとしても、身近に忍び寄りつつあるナチスの脅威を十分に感じていたはずであり、おそらくは同曲演奏史上最速のテンポが、そうしたワルターの心底に潜む焦燥感をあらわしているとも言える。

同曲の本質は死への恐怖と闘い、それと対置する生への妄執と憧憬であるが、当時の死と隣り合わせであった世相や、その中でのワルター、そしてウィーン・フィル、更には当日のコンサート会場における聴衆までもが同曲の本質を敏感に感じ取り、我々聴き手の肺腑を打つ至高の超名演を成し遂げることに繋がったのではないかとも考えられる。

まさに、本演奏は時代の象徴とさえ言える。

また、当時のウィーン・フィルの音色の美しさには抗し難い魅力があり、本名演に大きく貢献していることを忘れてはならない。

本演奏は奇跡的に金属原盤が残っていたが、当初発売の国内EMI盤は必ずしも良好な音質とは言えず、輸入盤(カナダプレス)も万全とは言えなかった。

Dutton盤やナクソス盤など、比較的良好な音質の復刻盤も存在したが、やはり決定的とも言える復刻盤はオーパス蔵盤ではないだろうか。

しかし現在オーパス蔵盤は入手難であり、筆者としては代替盤としてIron盤を推薦したい。

針音を削除しなかっただけあって、音の生々しさには出色のものがあり、ワルター&ウィーン・フィルによる奇跡的な超名演をこのような十分に満足できる音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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