2014年10月07日
ヒラリー・ハーン&サロネンのシェーンベルク&シベリウスのヴァイオリン協奏曲
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本盤には、シェーンベルクとシベリウスのヴァイオリン協奏曲という、20世紀に作曲された名作の演奏が収められているが、いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
まずは、ヒラリー・ハーンのヴァイオリンの演奏が素晴らしい。
ここでのヒラリー・ハーンのアプローチは、一音一音を蔑ろにすることなく精緻に曲想を描きだしていくというものだ。
聴き手を驚かすような奇手を繰り出すことは薬にしたくもなく、むしろ地味な演奏のようにも感じさせられるほどだ。
超絶的な技量は存分に発揮されてはいるが、無機的な演奏に陥ることはいささかもなく、どこをとっても内容にコクがあり豊かな情感を失っていない点を高く評価したい。
また、音色の美しさにも出色のものがあり、その艶やかな響きはヒラリー・ハーンの面目躍如たるものと言えるだろう。
したがって、12音技法で作曲されたシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲においては、晦渋さが相当程度緩和され、いい意味での明朗で、なおかつ滋味溢れる演奏に仕上がっているのが見事である。
他方、シベリウスのヴァイオリン協奏曲においては、北欧の大自然を彷彿とさせるような透明感溢れる清澄な美しさというよりは、むしろ明瞭で艶やかな響きが支配しており、その骨太でコクのある音色はシベリウスの協奏曲をそれこそベートーヴェンやブラームスの協奏曲の領域にまで引き上げるほどの奥行きの深さを湛えていると言っても過言ではあるまい。
このようなヒラリー・ハーンのヴァイオリンを下支えしているサロネン&スウェーデン放送交響楽団による名演奏も、本盤の大きな魅力の一つであると言えるだろう。
北欧フィンランドの出身であるとともに、現代音楽も自己薬籠中にしているサロネンだけに、両曲ともにスウェーデン放送交響楽団を巧みにドライブして、整然とした中にも情感の豊かさをいささかも失うことのない充実した演奏を展開している点を高く評価したい。
録音は、ヒラリー・ハーンの精緻なヴァイオリン演奏を鮮明に捉えており、十分に満足し得る音質である。
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