2013年10月13日
マタチッチ&N響のベートーヴェン:交響曲第1番、第7番(1966、68年ライヴ)
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今から四半世紀以上も前のことであるが、NHK教育テレビにおいて、マタチッチ&NHK交響楽団によるベートーヴェンの「第7」を放送していたのを視聴した時のことを鮮明に記憶している。
それは、最晩年であったマタチッチがほとんど指揮をしていなかったということだ。
手の動きはきわめて慎ましやかであり、実際にはアイコンタクトだけで指揮していたと言えるのではないだろうか。
しかしながら、そうした殆ど動きがないマタチッチを指揮台に頂きながら、NHK交響楽団がそれこそ渾身の力を振り絞って力強い演奏を行っていたのがきわめて印象的であった。
いずれにしても、あのような手の動きを省略したきわめて慎ましやかな指揮で、NHK交響楽団に生命力溢れる壮絶な演奏をさせたマタチッチの巨匠性やカリスマ性を高く評価すべきであると考える。
当盤でも、緊張感の中、エネルギーが爆発していくような演奏で、楽章が進むに連れてメンバーが熱を帯び、フィナーレなどインパクトのある凄演が聴け、興奮度は高い。
当時(1960年代後半)のNHK交響楽団は、技量においては、我が国のオーケストラの中でトップと位置づけられていたが、演奏に熱がこもっていないとか、事なかれ主義の演奏をするとの批判が数多く寄せられていた。
そうした批評の是非はさておき、全盛期のマタチッチによるこのような豪演に鑑みれば、そのような批評もあながち否定できないのではないかと考えられる。
本盤には、そうした巨匠マタチッチと、その圧倒的なオーラの下で、渾身の演奏を繰り広げたNHK交響楽団による疾風怒濤の超名演が収められている。
NHK交響楽団も決してベストではなかったにしろ、ドイツ風の重厚な演奏を繰り広げ、それを補って余りある燃えに燃えた名演奏である。
NHK交響楽団は、その指揮者の個性を薄めてしまうというのが筆者のイメージだったが、マタチッチは別のようで、楽員との厚い信頼関係を感じさせる。
随所にマタチッチの個性が散りばめられており、なおかつCDのファーストチョイスとしてもなんら違和感のない名演で、ライヴでありながらこの完成度は驚異的と言える。
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