2014年10月18日
プレヴィン&ロンドン響のR=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」、他[XRCD]
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若きプレヴィンによる素晴らしい名演と高く評価したい。
プレヴィンは、本演奏の13年後にウィーン・フィルとともに交響組曲「シェエラザード」を録音(1981年)しており、それも円熟の名演とも言えるが、楽曲の頂点に向けて畳み掛けていくような気迫や力強い生命力においては、本演奏の方が数段勝っており、両演奏ともに甲乙付け難いと言ったところではないだろうか。
プレヴィンは、クラシック音楽の指揮者としてもきわめて有能ではあるが、それ以外のジャンルの多種多様な音楽も手掛ける万能型のミュージシャンと言える。
したがって、そのアプローチは明快そのもの。
楽曲を難しく解釈して峻厳なアプローチを行うなどということとは全く無縁であり、楽曲をいかにわかりやすく、そして親しみやすく聴き手に伝えることができるのかに腐心しているように思われる。
したがって、ベートーヴェンなどのように、音楽の内容の精神的な深みへの追求が求められる楽曲においては、いささか浅薄な演奏との誹りは免れないと思うが、起承転結がはっきりとした標題音楽的な楽曲では、俄然その実力を発揮することになる。
交響組曲「シェエラザード」は、そうしたプレヴィンの資質に見事に合致する楽曲と言えるところであり、前述のような若さ故の力強い生命力も相俟って、素晴らしい名演に仕上がったと言っても過言ではあるまい。
聴かせどころのツボを心得た演出巧者ぶりは心憎いばかりであり、プレヴィンの豊かな音楽性が本演奏では大いにプラスに働いている。
クラシック音楽入門者が、交響組曲「シェエラザード」を初めて聴くに際して、最も安心して推薦できる演奏と言えるところであり、本演奏を聴いて、同曲が嫌いになる聴き手など、まずはいないのではないだろうか。
いずれにしても、安定した気持ちで同曲を味わうことができるという意味においては、第一に掲げるべき名演と評価したい。
併録の歌劇「サルタン皇帝の物語」からの抜粋2曲も同様のアプローチによる名演だ。
そして、さらに素晴らしいのはXRCDによる極上の高音質録音である。
本盤の録音は1968年であるが、とても45年も前の録音とは思えないような鮮明な高音質に仕上がっている。
プレヴィンによる素晴らしい名演を、現在望み得る最高の音質で味わうことができることを大いに歓迎したい。
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