2023年01月23日
“フランスのシューリヒト”🧑🏻🔬ニュアンスの瀟洒な味わい深さ🌶️フランス風のエスプリ漂う抗し難い魅力⚜️パレー&デトロイト響🗽ラヴェル&ドビュッシー:管弦楽曲集
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ラヴェルやドビュッシーの管弦楽曲については、これまで様々な指揮者によって素晴らしい名演の数々が成し遂げられてきている。
フランス系の指揮者に限ってみても、クリュイタンスやマルティノン、アンセルメ、プレートル、そして近年のデュトワなど、錚々たる指揮者による名演が存在しており、そうした多種多彩な名演の中にあっては、パレーによる名演は、残念なことでもあるが、前述の綺羅星の如き指揮者による名演とは異なり、今や知る人ぞ知る存在に甘んじているとも言える。
しかしながら、演奏の内容については間違いなくトップクラスの水準を誇っており、今般の本演奏の高音質盤の低価格による販売を契機に、多くのクラシック音楽ファンの間で、本演奏について正当な評価がなされることを心より願うものである。
それにしても、パレーの指揮芸術は、例えて言えば、書道における名人の一筆書きのようなものであると言えるだろう。
テンポはやや速めであり、一聴すると淡々と曲想が進行していくような趣きがあり、いささかも華美には走らない即物的で地味な様相の演奏である。
しかしながら、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの薄味の演奏では決してなく、各旋律の端々には細やかなニュアンスが施されている。
演奏に込められた内容の濃さにおいては、クリュイタンス盤と比較しても遜色はないものと思われるところだ。
パレーについては、一部の音楽評論家がフランスのシューリヒトと称しているが、まさに至言とも言うべきであり、その指揮芸術には、シューリヒトのそれと同様に、神々しいまでの崇高ささえ湛えていると言えるだろう。
それにしても、本盤に収められたラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲や高雅にして感傷的なワルツ、ボレロ、そしてドビュッシーの夜想曲や小組曲の演奏における、淡々と進行していく各旋律に込められたニュアンスの独特の瀟洒な味わい深さには、フランス風のエスプリ漂う抗し難い魅力が満ち溢れていると言えるところであり、これぞフランス音楽の粋とも言うべきものではないかと考えられるところだ。
もちろん、ボレロにおける圧倒的な高揚感など、強靭な迫力のおいてもいささかも欠けることがないことについては付記しておく必要がある。
また、デトロイト交響楽団という、最もアメリカ的なオーケストラがこのようなフランス風のエスプリ漂うセンス満点の演奏を展開していることが大変な驚きであると言える。
これはまさしくパレーによる不断の薫陶とともに、その類稀なる統率力の賜物であると言っても過言ではあるまい。
音質は、今から50年以上も前のスタジオ録音であるが、極めて鮮明な音質に改善されたことも、本盤の価値をより一層高めるのに大きく貢献していることを忘れてはならない。
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