2014年10月23日

ベームのモーツァルト:管楽器のための協奏曲集、セレナード、ディヴェルティメント集


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本盤には、ベームがウィーン・フィルやベルリン・フィルを指揮してスタジオ録音したモーツァルトの管楽器のための協奏曲集やセレナード集、ディヴェルティメント集が収められている。

ベームのレパートリーの基本は独墺系の作曲家による楽曲であったが、その中でもモーツァルトによる楽曲はその中核を占めるものであったと言えるのではないだろうか。

ベームが録音したモーツァルトの楽曲は、交響曲、管弦楽曲、協奏曲、声楽曲そしてオペラに至るまで多岐に渡っているが、その中でも本盤は、1959年から1967年にかけてベルリン・フィルを指揮してスタジオ録音を行うことにより完成させた交響曲全集とともに、今なお燦然と輝くベームの至高の業績であると高く評価したい。

モーツァルトを得意とした巨匠と言えば、ワルターを第一に掲げるべきであるが、ワルターのモーツァルトの楽曲の演奏が優美にして典雅であったのに対して、ベーム演奏は重厚でシンフォニックなものだ。

全体の造型はきわめて堅固であるが、スケールも雄渾の極みであり、テンポは全体としてゆったりとしたものである。

そして、本盤の演奏は、1970〜1979年にかけてのものであり、とりわけ1970年代後半のベームによる一部の演奏には、持ち味であった躍動感溢れるリズムに硬直化が見られるなど、音楽の滔々とした淀みない流れが阻害されるケースも散見されるようになるのであるが、本演奏には、そうした最晩年のベームが陥ったリズムの硬直化が殆ど聴かれないのが素晴らしい。

そして、全盛時代のベームの特徴でもあった躍動感溢れるリズムが本盤の演奏では健在であり、かような演奏が四角四面に陥るのを避けることに繋がり、モーツァルトの演奏に必要不可欠の高貴な優雅さにもいささかの不足もしていないと言えるところだ。

要は、いい意味での剛柔バランスのとれた名演に仕上がっていると言えるだろう。

そして、本盤で素晴らしいのは、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの各首席奏者の素晴らしい名演奏であり、その卓越した技量や美しい音色など、これ以上は求め得ないような美しさの極みとも言うべき圧倒的な名演奏を展開していると評価したい。

これら首席奏者にとどまらず、ベルリン・フィルやウィーン・フィルによる演奏も高く評価すべきであるが、とりわけベルリン・フィルについて言及しておきたい。

この当時のベルリン・フィルは、終身の芸術監督カラヤンの下で、いわゆるカラヤン・サウンドに満ち溢れた重厚でなおかつ華麗な名演奏の数々を成し遂げるなど、徐々にカラヤン色に染まりつつあったところだ。

しかしながら、本盤の演奏では、いささかもカラヤン色を感じさせることなく、ベームならではのドイツ風の重厚な音色で満たされている。

かかる点に、ベルリン・フィルの卓越した技量と柔軟性を大いに感じることが可能であり、本盤の名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。

音質は、1970年から1979年にかけてのスタジオ録音であるが、大半の演奏が既にリマスタリングが施された(ウィーン・フィルの首席奏者との協奏交響曲やディヴェルティメント集については久々のCD化であるとともに、筆者も当該CDを所有しておらず、比較出来なかったことを指摘しておきたい)こともあって、従来盤でも十分に満足できるものである。

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classicalmusic at 20:56コメント(5)トラックバック(0)モーツァルト | ベーム 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2015年12月15日 12:00
ディルグレンジャーのモーツァルト ホルン協奏曲全集のあと、youtubeでも聴いて実力が見切れなかったことと、ヴィンナホルンに惹かれて手に入れました。
今回同時に購入したアーノンクール指揮ヘルマン・バウマン独奏と比べると、見劣りが多いなと思ったところが多々。
オケの音色はいいのに、ベームの伴奏が。ローラ指揮、リスト室内管弦楽団の軽快でソロを引き立てる伴奏、カラヤン指揮ブレイン独奏にみられる颯爽とした伴奏に惹かれます。このゆったりとしたテンポは、美音のためともとれそう考えれば納得が行きます。それだとクリップスが指揮をしたら、家族的一体感、歌心、オケとソロの競演をもっと両立できたのかもしれず。
ヴィンナホルンのソロは、ヴィーンフィルの音色も相まってよく融けます。それ故に、最もくつろげて、幸せな気持ちになれます。これがブレインや、タックウェル、そしてヘルマン・バウマンのナチュラル・ホルンをもってしても替えがたい魅力に思えてきます。プレヴィンのホルン協奏曲でも、ヴィンナホルンは、替えられない素晴らしさがありますね。
2. Posted by 和田   2015年12月18日 00:21
ウィーン・フィルの首席をソリストに起用したモーツァルトだけあって、音色の魅力はさすがですが、確かにベームの指揮に遊びが乏しく、その影響を受けてコンチェルトらしい輝きや多彩なニュアンスにやや欠けがちなのが惜しまれますね。
それらの中にあって、トゥレチェク独奏のオーボエ協奏曲の愉悦感が際立っていて、協奏交響曲の4人のソリストもかなり美しいと思います。
ヤマハ製のウィンナ・ホルンを使用したヘーグナー独奏のホルン協奏曲は実はあまり好きではありません。
ヘーグナーの表現がのっぺりしていて、もっと多彩な楽しさやユーモアが欲しいところです。
それにベームの指揮がここでも遅いテンポによるずっしりとした手応えがさすがにシンフォニックですが、ホルンよりオーケストラに耳が行ってしまいますし、軽快さに欠けています。
3. Posted by Kasshini   2016年08月04日 18:45
最晩年のベームの常でソロ含めてヴィーンフィルの美音をフルに引き出そうとした演奏にあれから思えてきました。
ホルンの音色も災いしてか抜けがあまりよくなく。ヘーグナーではなくて、当時4番だったローラント・ベルガーと思う自分がいます。
今iPhone6アプリはHF Playerostry KC06Aという解像度バリバリややドンシャリのイヤホンで聞いていますが、さらにラウドネス補正をかけてよりドンシャリにすると、眠さが消えてすべての美音が際立ちます。
プレヴィン指揮WPh演奏ストランスキー(ローラント・ベルガー直弟子)、ロナルト・ヤネツィク各ソロのR.シュトラウス ホルン協奏曲もこれで聴感がよくなりました。どうしてこういうマスタリングにしたのだろう。海外盤も買って検証しようと思います。
こうして聴くと、バウマンよりも好みです。音域以外ウェーバー級の超絶カデンツァとオケもノンヴィブラードは好きなので第3番は変わらず入れています。ヴィーナー・ホルンの、大らかにしてまろやかで味わい深いもこれでようやく聴こえて生きてきます。ホルン協奏曲は録音泣かせの楽曲なのかもしれません。デニス・ブレインのモノラル録音でもこういう抜けの悪さは経験はないので、意図が掴めず複雑です。
4. Posted by Kasshini   2016年08月11日 12:22
国内盤より海外OiBP盤の方がくっきりなっていたことを報告します。リマスタングの影響はある程度あるようです。
5. Posted by 和田   2016年08月11日 18:26
モーツァルトのホルン協奏曲は本当に魅力的な楽曲で、私もCDを集められるだけ集めましたが、結局のところデニス・ブレイン&カラヤン盤に優る録音はないという結論に達しました。
モノラルですが、SACD化された盤は音の芯もしっかりしていて、ブレインの息づかいまで鮮明に聴き取れ、この天才奏者の凄さを余すところなく味わえます。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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