2014年11月13日
小澤&ベルリン・フィルのプロコフィエフ:交響曲第1番、第5番、組曲「キージェ中尉」
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本盤には、小澤征爾がベルリン・フィルとともに1989年から1992年の4年間をかけてスタジオ録音を行ったプロフィエフの交響曲全集から抜粋した有名曲が収められているが、いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
小澤がベルリン・フィルを指揮した、端正にしてキリリとした指揮ぶりを堪能できる作品集である。
小澤は、カラヤンを師匠として敬愛していたこともあり、ベルリン・フィルと数々の演奏・録音を行ってきているが、現時点において最も優れた録音は、このプロコフィエフの交響曲全集ということになるのではないだろうか。
小澤は、もともとプロコフィエフを得意中の得意としており、ここでも持ち前の豊かな音楽性を活かしつつ、軽快でリズミカルなアプローチによるセンス満点の明瞭な演奏を行っているのが素晴らしい。
交響曲第1番についてはかかるアプローチに対して異論はないだろうが、交響曲第5番については、カラヤン、バーンスタインなどによる重厚な名演が目白押しであり、それに慣れた耳からすると本演奏はいささか軽快に過ぎるきらいがないわけではない。
しかしながら、とかく重々しくなりがちなプロコフィエフの演奏に清新さを与えるのに成功している点については、筆者としては高く評価したいと考える。
組曲「キージェ中尉」も同様のアプローチによる名演であるが、ここでは第2曲「ロマンス」と第4曲「トロイカ」に声楽を含むバージョンで演奏されており、これは希少価値がある。
さらに、これらの演奏で素晴らしいのは、ベルリン・フィルによる卓越した技量であると考える。
この当時のベルリン・フィルは、芸術監督がカラヤンからアバドに代替わりする難しい時期でもあったが、ここでは鉄壁のアンサンブルとパワフルなサウンド、各管楽器の卓越したテクニックが健在である。
組曲「キージェ中尉」におけるアンドレアス・シュミットも素晴らしい歌唱を披露している。
録音は、従来盤でも高音質で知られてはいたが、今般のSHM−CD化によって、音質はさらに鮮明になるとともに、音場が幅広くなった。
小澤&ベルリン・フィルによる素晴らしい名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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