2014年11月14日

ヴァント&ベルリン・ドイツ響のブルックナー:交響曲第6番&第8番


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ヴァントは、いわゆる大器晩成型の巨匠指揮者として、1990年代に様々な名演の数々を遺したが、数年前にライヴ・ボックス第1弾が発売され、クラシック音楽ファンの間で話題となったベルリン・ドイツ交響楽団との一連のライヴ録音も、その枢要な地位を占めるものである。

ベルリン・ドイツ交響楽団は、ベルリン・フィルの陰に隠れた存在に甘んじているが、一流の指揮者を迎えた時には、ベルリン・フィルに肉薄するような名演を成し遂げるだけの実力を兼ね備えたオーケストラである。

ましてや、指揮者がヴァントであれば問題はなく、その演奏が悪かろうはずがない。

今般、国内盤として発売されるのは、ライヴ・ボックスの第2弾、待望の分売化と言えるだろう。

本盤には、ヴァントが最も得意としたレパートリーでもあるブルックナーの交響曲第6番及び第8番が収められている。

交響曲第6番については、既に、ヴァントによる唯一の全集を構成するケルン放送交響楽団との演奏(1976年スタジオ録音)のほか、北ドイツ放送交響楽団との2度にわたるライヴ録音(1988年と1995年)、更には、ミュンヘン・フィルとのライヴ録音(1999年)の4つの録音が存在しており、本演奏は5つ目の録音の登場ということになる。

本演奏を含め、いずれ劣らぬ名演であるが、この中でも最も優れた超名演は、ミュンヘン・フィルとの演奏であるというのは衆目の一致するところであろう。

もっとも、本演奏も、さすがにミュンヘン・フィルとの演奏のような至高の高みには達していないが、当該演奏の4年前の演奏ということもあって、同年に録音された北ドイツ放送交響楽団との演奏と並んで、十分に素晴らしい至高の名演に仕上がっていると高く評価したい。

第1楽章など、金管を思いっきり力強く吹かせているが、決して無機的には陥ることなく、アルプスの高峰を思わせるような実に雄大なスケールを感じさせる。

それでいて、木管楽器のいじらしい絡み合いなど、北欧を吹く清涼感あふれる一陣のそよ風のようであり、音楽の流れはどこまでも自然体だ。

第2楽章は、とある影響力の大きい某音楽評論家が彼岸の音楽と評しておられたが、本盤の演奏こそがまさに彼岸の音楽であり、前述のようにミュンヘン・フィルとの演奏ほどの至高の高みには達していないものの、ヴァントとしても、最晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地をあらわしていると言えるのではないだろうか。

第6番は、第3楽章や第4楽章のスケールが小さいと言われるが、ヴァントの演奏を聴くと必ずしもそうとは思えない。

終楽章など、実に剛毅にして風格のある雄大な演奏であり、特に、第2楽章の主題が回帰する箇所のこの世のものとは思えないような美しさには抗し難い魅力に満ち溢れている。

また、交響曲第8番については、ヴァントが最も数多くの録音を遺したブルックナーの交響曲であった。

ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団との演奏(1971年)にはじまり、ヴァントによる唯一の全集を構成するケルン放送交響楽団との演奏(1979年)、NHK交響楽団との演奏(1983年)、北ドイツ放送交響楽団との3度にわたる演奏(1987年ライヴ録音、1990年東京ライヴ録音、1993年ライヴ録音)、ミュンヘン・フィルとの演奏(2000年ライヴ録音)、ベルリン・フィルとの演奏(2001年ライヴ録音)の8度にわたる録音が既発売であるので、本演奏を加え、何と合計で9度にわたって録音したことになるところだ。

本演奏を含め、いずれ劣らぬ素晴らしい名演であると評価したいが、この中で、最も優れた超名演は、ミュンヘン・フィル及びベルリン・フィルとの演奏であるというのは衆目の一致するところであろう。

もっとも、本演奏も、さすがにミュンヘン・フィル及びベルリン・フィルとの演奏のような至高の高みには達していないが、1年前の北ドイツ放送交響楽団との演奏と並んで、十分に素晴らしい名演と高く評価するのにいささかも躊躇するものではない。

1980年代までのヴァントによるブルックナーの交響曲の演奏におけるアプローチは、厳格なスコア・リーディングの下、楽曲全体の造型を厳しく凝縮化し、その中で、特に金管楽器を無機的に陥る寸前に至るまで最強奏させるのを特徴としており、優れた演奏である反面で、スケールの若干の小ささ、そして細部にやや拘り過ぎる神経質さを感じさせるのがいささか問題であった。

そうした短所も1990年代に入って、かかる神経質さが解消し、スケールの雄大さが加わってくることによって、前述のミュンヘン・フィルやベルリン・フィルとの歴史的な超名演を成し遂げるほどの高みに達していくことになるのだが、本演奏は、そうした最晩年の超名演の先駆であり、高峰への確かな道程となるものとも言える。

比較的ゆったりとしたテンポをとっているが、必ずしももたれるということはなく、ゆったりとした気持ちで、同曲の魅力を満喫することができるというのは、ヴァントのブルックナーへの理解・愛着の深さの賜物と言える。

金管楽器の最強奏も相変わらずであるが、ここでは、やり過ぎということは全くなく、常に意味のある、深みのある音色が鳴っているのが素晴らしい。

いずれにしても、本盤に収められた交響曲第6番及び第8番は、ブルックナーを得意としたヴァントならではの素晴らしい名演と高く評価したい。

音質も、1990年代のライヴ録音であり、十分に満足できるものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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