2014年11月10日

アラウ&ジュリーニのブラームス:ピアノ協奏曲第1番[SACD]


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20世紀後半を代表する指揮者の1人であったジュリーニであるが、いわゆる完全主義者であったということもあり、そのレパートリーは、これほどの指揮者としては必ずしも幅広いとは言えない。

そのようなレパートリーが広くないジュリーニではあったが、それでも独墺系の作曲家による楽曲も比較的多く演奏しており、とりわけブラームスについては交響曲全集を2度に渡って録音するなど、得意のレパートリーとしていたところだ。

協奏曲についても、複数の録音が遺されており、本盤に収められたピアノ協奏曲第1番についても、2度にわたってスタジオ録音を行っている。

レコーディングには慎重な姿勢で臨んだジュリーニとしては数少ない例と言えるところであり、これはジュリーニがいかに同曲を愛していたかの証左とも言えるだろう。

同曲の最初の録音は本盤に収められたアラウと組んで行った演奏(1960年)、そして2度目の録音はワイセンベルクと組んで行った演奏(1972年)であるが、この両者の比較は難しい。

いずれ劣らぬ名演であると考えるが、ピアニストの本演奏時の力量も互角であり、容易には優劣を付けることが困難である。

本演奏は、録音年代が1960年ということもあり、ジュリーニ、アラウともども壮年期の演奏。後年の円熟の大指揮者、大ピアニストとは全く違った畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力を有しており、ブラームスの青雲の志を描いたともされる同曲には、そうした当時の芸風が見事にマッチングしていると評しても過言ではあるまい。

アラウのピアノ演奏は、卓越した技量は当然であるが、派手さや華麗さとは無縁であり、武骨とも言えるような古武士の風格を有している。

他方、ジュリーニの指揮は、いささかの隙間風の吹かない、粘着質とも言うべき重量感溢れる重厚な演奏の中にも、イタリア人指揮者ならではの歌謡性溢れる豊かな情感が随所に込められており、アラウの武骨とも言うべきピアノ演奏に若干なりとも潤いを与えるのに成功しているのではないだろうか。

いずれにしても、本演奏は、ジュリーニ、アラウともに、後年の演奏のようにその芸術性が完熟しているとは言い難いが、後年の円熟の至芸を彷彿とさせるような演奏は十分に行っているところであり、両者がそれぞれ足りないものを補い合うことによって、いい意味での剛柔のバランスのとれた名演に仕上がっていると評価したい。

この両者が、例えば1980年代の前半に同曲を再録音すれば、更に素晴らしい名演に仕上がったのではないかとも考えられるが、それは残念ながら叶えられることはなかったのはいささか残念とも言える。

音質は、1960年のスタジオ録音であり、数年前にリマスタリングが行われたものの、必ずしも満足できる音質とは言い難いところであった。

ところが、今般、シングルレイヤーによるSACD盤が発売されるに及んで大変驚いた。

音質の鮮明さ、音圧、音場の幅広さのどれをとっても、従来CD盤とは段違いの素晴らしさであり、あらためて本演奏の魅力を窺い知ることが可能になるとともに、SACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

いずれにしても、ジュリーニ、そしてアラウによる素晴らしい名演を超高音質のシングルレイヤーによるSACD盤で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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