2014年11月10日
パレーのフランス作曲家作品集
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フランスの名指揮者パレーの偉大な遺産とも言うべき素晴らしい名演集だ。
パレーについては、一部のコアなクラシック音楽ファンのみが高く評価している知る人ぞ知る名匠の地位に甘んじているが、タイプは異なるとはいえ、実際にはモントゥーやミュンシュ、クリュイタンスなどにも十分に比肩し得るほどの高度な芸術性を誇っていると言えるだろう。
今般の「コンサート・ホール」レコーディングスの販売を契機に、多くのクラシック音楽ファンの間で、パレーについて正当な評価がなされることを心より願うものである。
それにしても、パレーの指揮芸術は、例えて言えば、書道における名人の一筆書きのようなものであると言えるだろう。
テンポはやや速めであり、一聴すると淡々と曲想が進行していくような趣きがあり、いささかも華美には走らない即物的で地味な様相の演奏である。
しかしながら、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの薄味の演奏では決してなく、各旋律の端々には細やかなニュアンスが施されており、演奏に込められた内容の濃さにおいては、他のフランス系大指揮者と比較しても遜色はないものと思われるところだ。
この指揮者ならではの、フランス系指揮者の曲線的なイメージとは完全に一線を画した剛毅闊達なアプローチがきわめて壮快な演奏揃いであるが、とりわけ『ラ・ヴァルス』の豪快な白熱ぶりは一聴に値する見事さである。
パレーについては、一部の音楽評論家がフランスのシューリヒトと称しているが、まさに至言とも言うべきであり、その指揮芸術には、シューリヒトのそれと同様に、神々しいまでの崇高ささえ湛えていると言えるだろう。
それにしても、淡々と進行していく各旋律に込められたニュアンスの独特の瀟洒な味わい深さには、フランス風のエスプリ漂う抗し難い魅力が満ち溢れていると言えるところであり、これぞフランス音楽の粋とも言うべきものではないかと考えられるところだ。
本盤は、パレーならではの老獪とも言うべきセンス満点の指揮芸術の魅力を十二分に味わうことができる素晴らしい名演集と評価したい。
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