2023年01月11日
懐の深さやスケールの雄大さ💗全集の演奏よりもグレードアップ💮ヴァント&北ドイツ放送響🎼ベートーヴェン:交響曲第1番&第2番[1997年&1999年ライヴ] ☢️
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ヴァントが指揮するベートーヴェンの交響曲の演奏の中でも、その芸風に最も適合している楽曲は、本盤に収められた交響曲第1番及び第2番ではないだろうか。
ヴァントによる両曲の録音は、今回で3度目、そして最後のものと言うことになるが、演奏の素晴らしさは頭一つ抜けた存在であると評価したい。
ヴァントによるベートーヴェンの交響曲の演奏としては、何と言っても1980年代に、手兵北ドイツ放送交響楽団とともにスタジオ録音した唯一の交響曲全集(1984〜1988年)が念頭に浮かぶ。
当該全集以前の1950年代のギュルツェニヒ管弦楽団との演奏も、テスタメントなどによって発掘がなされているが、ヴァントのベートーヴェン演奏の代表盤としての地位にはいさかも揺らぎがない。
しかも、当該全集については、現在では入手難であるが、数年前にSACDハイブリッド盤で発売されたこともあり、ますますその価値を高めていると言っても過言ではあるまい。
これに対して、本盤に収められたベートーヴェンの交響曲第1番及び第2番の演奏は、1997年及び1999年に北ドイツ放送交響楽団とともにライヴ録音したものである。
本演奏と同様に、前述の全集以降は、第3番〜第6番のライヴ録音も行っただけに、残る第7番〜第9番の録音を果たすことなくこの世を去ってしまったのは極めて残念なことであった。
それはさておき、本盤の演奏は素晴らしい名演だ。
前述の全集も、ヴァントの峻厳な芸風があらわれたいかにもドイツ色の濃厚な名演揃いであったが、いささか厳格に過ぎる造型美や剛毅さが際立っているという点もあって、スケールがいささか小さく感じられたり、無骨に過ぎるという欠点がないとは言えないところだ。
それに対して、本盤の演奏は、おそらくはヴァントの円熟のなせる業であるとも思われるところであるが、全集の演奏と比較すると、堅固な造型の中にも、懐の深さやスケールの雄大さが感じられるところであり、さらにグレードアップした名演に仕上がっていると言えるのではないだろうか。
もちろん、華麗さなどとは無縁の剛毅さや無骨さは相変わらずであるが、それでも一聴すると淡々と流れていく曲想の端々からは、人生の諦観を感じさせるような豊かな情感が滲み出していると言えるところであり、これは、ヴァントが晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地と言えるのではないかと考えられるところだ。
そして、演奏全体に漂っている古武士のような風格は、まさに晩年のヴァントだけが描出できた崇高な至芸と言える。
本演奏こそは、ヴァントによるベートーヴェンの交響曲第1番及び第2番の最高の名演、さらには、ヴァントによるベートーヴェンの様々な交響曲の演奏の中でも最も優れた至高の超名演と高く評価したい。
音質は、1997年及び1999年のライヴ録音であるだけに、従来CD盤でも十分に満足できる音質であったが、SACD化されたのは何と言う素晴らしいことであろうか。
音質の鮮明さ、音場の幅広さのどれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。
いずれにしても、ヴァントによる至高の超名演を、SACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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