2014年11月19日
C・デイヴィス&ロンドン響のニールセン:交響曲第1、6番
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デイヴィス&ロンドン交響楽団によるニールセンの交響曲チクルスの第2弾。
前作の第4番及び第5番、とりわけ第5番が圧倒的な超名演であっただけに、大いに期待して本盤を聴いたのであるが、その期待をいささかも裏切ることがない圧倒的な名演に仕上がっていると高く評価したい。
本盤に収められた交響曲は、初期の第1番とニールセンの最後の交響曲である第6番という、対照的な楽曲どうしの組み合わせである。
第1番といっても、決して習作ではなく、20代半ばで作曲された完成度の高い作品である。
さすがに、第3番〜第5番のいわゆる三大交響曲に比肩するとは言い難いが、ニールセンならではの独特の華麗なオーケストレーションと、北欧風の情感の豊かさも盛り込まれた魅力的な作品であると言えるところだ。
デイヴィスは、そうした同曲の特色を十分に生かすとともに、ライヴ録音ならではの畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力が漲った見事な名演奏を繰り広げている。
とりわけブラスセクションの強靭な迫力は、とても80歳の老巨匠によるとは思えないほどの凄まじさであり、デイヴィスが満を持して臨んだニールセンの交響曲チクルスにかける本気度を窺い知ることが可能であると言っても過言ではあるまい。
他方、第6番は、シンプルシンフォニーとの副題が示すように、最高傑作の第5番とは一転して簡潔な書法で書かれた名作である。
トゥッティは殆ど存在せず、室内楽的な静けさが全体を支配しているとともに、打楽器セクションの効果的な扱いが特色と言えるが、それだけに指揮者にとっても、演奏全体を纏めるのに難渋することを強いられる作品とも言えるだろう。
デイヴィスは、そうしたニールセンの最晩年の枯淡の境地さえ感じさせる同曲の魅力を十二分に描出するとともに、巧みにメリハリを施すことによって、聴かせどころのツボを心得たいい意味で明晰な演奏に仕立て上げた点を評価したい。
デイヴィスによるニールセンの交響曲チクルスは、残すところ第2番及び第3番のみとなったが、これまでの演奏はいずれも名演であり、第3弾に大きな期待を寄せる聴き手は筆者だけではあるまい。
ロンドン交響楽団も、老匠ニールセンの下、渾身の名演奏を展開しているのを評価したい。
そして、本盤で素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。
音質の鮮明さ、臨場感、音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。
いずれにしても、デイヴィスによる素晴らしい名演をSACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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