2023年01月12日
フレーズの端々から漂ってくる🍃滋味に溢れる温かみには抗し難い魅力🍂ケンプのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」😢「月光」🌖「熱情」❤️🔥
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本盤には、ケンプの第1回目のステレオ録音で世界初CD化となる貴重盤が収められている。
いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
これらの3曲を収めたCDは現在でもかなり数多く存在しており、とりわけテクニックなどにおいては本演奏よりも優れたものが多数あるが、現在においても、本演奏の価値はいささかも色褪せていないと考える。
本演奏におけるケンプのピアノは、いささかも奇を衒うことがない誠実そのものと言える。
ドイツ人ピアニストならではの重厚さも健在であり、全体の造型は極めて堅固である。
また、これらの楽曲を熟知していることに去来する安定感には抜群のものがあり、その穏やかな語り口は朴訥ささえ感じさせるほどだ。
しかしながら、一聴すると何でもないような演奏の各フレーズの端々から漂ってくる滋味に溢れる温かみには抗し難い魅力があると言える。
これは人生の辛酸を舐め尽くした巨匠ケンプだけが成し得た圧巻の至芸と言えるだろう。
同時期に活躍していた同じドイツ人ピアニストとしてバックハウスが存在し、かつては我が国でも両者の演奏の優劣についての論争が繰り広げられたものであった。
現在では、とある影響力の大きい某音楽評論家による酷評によって、ケンプの演奏はバックハウスを引き合いに著しく貶められているところである。
確かに、某音楽評論家が激賞するバックハウスによるベートーヴェンのピアノ・ソナタについてはいずれも素晴らしい名演であり、筆者としてもたまに聴くと深い感動を覚えるのであるが、体調が悪いとあのような峻厳な演奏に聴き疲れすることがあるのも事実である。
これに対して、ケンプの演奏にはそのようなことはなく、どのような体調であっても、安心して音楽そのものの魅力を味わうことができる。
筆者としては、ケンプの滋味豊かな演奏を聴衆への媚びと決めつけ、厳しさだけが芸術を体現するという某音楽評論家の偏向的な見解には到底賛成し兼ねるところである。
ケンプによる名演もバックハウスによる名演もそれぞれに違った魅力があると言えるところであり、両者の演奏に優劣を付けること自体がナンセンスと考えるものである。
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