2023年01月13日

🍏若きポリーニと最晩年のベームによる共演🕋個性の違いが興味深い成果をあげた名演奏📛ポリーニ&ベームのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番👏🏻第5番「皇帝」


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これは名演だ。

例えばバレンボイムのベルリン・フィル弾き振りによる演奏は、ソロとオーケストラが緊密に結びついたいわば高度の同質性が貫かれた名盤だが、この若きポリーニと最晩年のベームによる共演は、ソロとオーケストラの個性の違いが興味深い成果をあげた名演奏と言えよう。

ポリーニは、本盤から10年以上経って、アバド&ベルリン・フィルをバックに、2度目のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音したが、全く問題にならない。

2度目の録音は、アバド&ベルリン・フィルのいささか底の浅いとも言える軽い演奏と、ポリーニの無機的とも評すべき鋭利なタッチが、お互いに場違いな印象を与えるなど、豪華な布陣に相応しい演奏とは必ずしも言い難い凡演に成り下がっていた。

しかし1度目の録音におけるポリーニは、若々しく溌剌とした演奏でダイナミックに弾いており、聴いていて心地良い。

それに本盤の場合は、先ず何よりもバックが素晴らしい。

特に、この2曲は、ベーム&ウィーン・フィルという最高の組み合わせであり、その重厚なドイツ風の演奏は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲演奏の理想像の具現化と言えるだろう。

造型を重要視するアプローチは相変わらずであるが、それでいて、最晩年のベームならではのスケールの雄大さにもいささかの不足はない。

ポリーニのピアノも、ここではバックのせいも多分にあるとは思うが、無機的な音は皆無であり、情感溢れるニュアンスの豊かさが見事である。

第4番のポリーニは胸のすくようなテクニックで華麗に弾いており、透明なリリシズムが美しい。

ベームの指揮とともに、よく整い、よく磨かれ、やるべきことをきちんとやっていて、さらにそれを超えて迫ってくる個性の輝きがある。

「皇帝」のポリーニも同様だが、ベームの指揮はこの方が一段と充実しており、密度が高い。

ベームの指揮は決してテンポが遅いわけではないが、時に滑らかさに欠けると感じられるところもあるが、そこをウィーン・フィルの優美な音色が巧みに補完し、格調の高いオーケストラ演奏を生み出している。

その上に個々の音がクリスタルの輝きを放つポリーニのピアノが自由に泳ぎ回る。

典雅な趣きをたたえた第4番、古典的な側面をくっきりと描き出した「皇帝」といずれも傾聴に値する演奏だ。

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classicalmusic at 08:04コメント(4)ポリーニ | ベーム 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年01月13日 08:39
5 全く同感。ポリー二は2回ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音していますが,一回めの全集,その中でも最初に録音された本盤が最高の出来栄えでしょう。ベームの悠揚なバックの中,ポリー二の研ぎ澄まされたピアノが折り目正しく遊泳します。私もLP期に本盤を持っていました。残念だったのは完成を待たずしてベームが他界した事でした。私はブレンデル&レヴァイン盤,アラウ&C. デイヴィス盤に本盤を加え,ベストスリーとしたいです。
2. Posted by 和田   2023年01月13日 08:47
ポリーニはベートーヴェンのピアノ協奏曲をベームと第3〜5番、ヨッフムと第1,2番をウィーン・フィルと録音しました。再録音はアバド指揮、ベルリン・フィルとの共演で、同じ曲をヨーロッパの2大オーケストラと録音できたとは、ポリーニも大したものだと感じた次第です。ベームと共演したポリーニは、ベームのよきリードのせいかどうか、ベームの音楽の中にごく自然に融和していたような気がします。ポリーニの気迫のこもった演奏で、タッチは明快で澄んだ響きを持ち、解釈は細心かつ充実を示し、細かい楽句でも1つ1つの音に美しい輝きを与えています。アーティキュレーションは実に美しく、繊細な感覚と優美な抒情を溶け合わせて、ベートーヴェンの情感に迫っています。しかも、あらゆるフレーズが隅々に至るまで強い緊張感に支配されていて、聴き手を刺激します。たまには、やすらぎがほしい気がしますが…。さらに素晴らしいのはヨッフムとの2曲で、躍動感あふれる力強さと暖かさを兼ね備えたヨッフムの魅力が横溢した表現でソロをひきたてています。私が最初にLPで聴いた思い出の名盤です。
3. Posted by 小島晶二   2023年01月13日 08:58
少し説明不足で失礼しました。私が絶賛したいのは4番です。LP発売当時は4番だけでしたが,今は5番と共に聴くことが出来るとは恵まれていますね。勿論,5番も秀演ですが,こちらにはギレリス,アシュケナージ,グルダとライヴァル多数ですね。ヨッフムとの1番も素晴らしいのですが,時に不自然なリズム感が感じられ,最近私は敬遠気味です。
4. Posted by 和田   2023年01月13日 09:07
第5番は以前コメントをいただいた通り、ルービンシュタイン&バレンボイムが皇帝中の皇帝と絶賛したくなる最高の名盤ですね。ご指摘のブレンデル&レヴァインによる全集の中では第1番の演奏が最も凄く、次いで第3番、第4番が優れています。極めて思索的、知的な表現であると同時に、音楽には溢れんばかりの生命力が躍動しています。全盛期のベームのようなレヴァインとの呼吸もピッタリで、ブレンデルの成熟ぶりを明確に示す名演ですね。グリモー&ユロフスキ(シュターツカペレ・ドレスデン)盤をまもなく聴きます。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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