2014年11月13日

クレンペラーのバッハ:管弦楽組曲


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クレンペラーの死の4年前、最晩年の演奏であるが、いかにも巨匠ならではの重厚な名演である。

幼少期の頃からバッハの音楽に親しんできたクレンペラーの最晩年の指揮、そしてそれを演奏するのはイギリスを代表する一流オケであり、クレンペラーとの信頼が厚いニュー・フィルハーモニア管弦楽団。

勿論悪いはずがなく、これを聴かない人はバッハの音楽を聴かないも同然であり、聴いて損はない。

ヒストリカルな見地からはとんでもない演奏なのだろうが、その悠然たる風格には圧倒される。

グッと抑えた表現からにじみ出る詩情はまさにドイツのバッハであり、スケールの大きさや重量感を持ちながら透明感も十分な実にユニークな演奏だ。

バッハの演奏様式については、近年ではピリオド楽器による古楽器奏法や、現代楽器による古楽器奏法などによる小編成のオーケストラ演奏が主流となっている。

本盤に聴かれるような大編成のオーケストラによる重厚な演奏は、かつては主流であったが、近年ではすっかりと聴かれなくなってしまった。

そうした旧スタイルの演奏様式を古色蒼然と批判する向きもあるくらいである。

しかしながら、近年の演奏の何と言う味気ないことか。

芸術性の高い演奏も、稀には存在しているが、殆どは軽妙浮薄の最たるものであり、学者は喜ぶかもしれないが、音楽芸術の感動という点からは著しくかけ離れているのではないかと筆者としては考えている。

このような軽妙浮薄な演奏が流布している中で、本盤のクレンペラーの演奏は何と感動的に響くことか。

かつてはこうした交響楽指揮者がバッハを堂々と演奏していたものである。

ここには、ベートーヴェン以降の交響曲にも匹敵する厚みのある内容がぎっしり詰まっている。

いずれも雄大なフランス風序曲で始まるバッハの管弦楽組曲に、クレンペラーは晴れやかな響きを行き渡らせている。

これはベートーヴェンで見せるような、厳然とした面もちとはまた違ったクレンペラーの魅力であり、巨匠の本質にさまざまな角度から接することができる。

テンポも微動だにしない堂々たるインテンポであり、例えば、第2番のバディネリのように、かつての大編成のオーケストラによる旧スタイルの演奏の際にも、速めのテンポで駆け抜けるのが主流の楽曲でも、深沈たるテンポで実に味わい深い演奏を行っている。

金管の鋭い響きや、巨象が踏みしめるような堂々たる音楽の進め方など、スケールは極大であり、この旧スタイルの演奏としては、トップの座を争う名演と高く評価したい。

この演奏を聴くと、これほど悠揚とした演奏はもう今後耳にすることはできないのではないかとすら思えてくる。

そしてクレンペラーこそ、まさに偉大で風格のあるアポロン的演奏家ではなかろうか。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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