2014年11月15日
若杉&都響の武満徹:管弦楽作品集:「ノヴェンバー・ステップス」/「弦楽のためのレクイエム」、他
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
武満徹の代表的作品4曲を作曲者本人の立ち会いのもとに収録したアルバムで、故若杉弘による素晴らしい名演である。
武満徹入門には文句なしの1枚で、作品は武満の(真に音楽的な意味で)代表作と言えるし、演奏の規模・迫力、魅力と他に比べられない傑作の名演集と言える。
鶴田/横山にとって6回目の録音にあたる「ノヴェンバー・ステップス」ほか、デジタル初録音となった「弦楽のためのレクイエム」など、静謐の中に色彩感あふれる演奏が魅力である。
武満徹の「弦楽のためのレクイエム」や「ノヴェンバー・ステップス」の名演としては小澤による名盤があるが、本盤の若杉の演奏は冷静かつ情熱的で、小澤盤とは違った性格の名演と高く評価したい。
小澤の名演は、武満徹が記した複雑なスコアを、独特の鋭い感性で描き出していくのに対して、若杉の名演は、ある種のドイツ音楽を指揮する時にように、厳しい造形美と重厚さが持ち味と言える。
武満徹の立ち会いのもとで行われた録音ということもあり、作曲者としても、このようなアプローチを容認していたと言うことであろう。
特に、「弦楽のためのレクイエム」は、曲の性格もあり、小澤の名演よりも、より心の琴線に訴えかける力強さに溢れて感動的だ。
「ノヴェンバー・ステップス」は、小澤盤と同格と言えるが、ゆったりとした深みのある味わいを求める聴き手からすれば、本盤の方を選ぶのが適切とも考えられる。
併録の「ヴィジョンズ」も名演であり、どれも美しい緊張感と知的な彩りを帯びた演奏で聴き応えがある。
指揮者も凄いが、オケも凄く、東京都交響楽団というオーケストラは、もしかして日本一のオーケストラかもしれないという確信を抱かせる。
武満徹の代表的な作品を集めたCDとして、小澤盤と並んで、代表的名盤との地位は、今後とも揺るがないものと考える。
1991年の録音で、もう20年程前の録音ではあるが、音質は良好なレベルと言って良い。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。