2014年11月18日
クリュイタンス&パリ音楽院管のビゼー:アルルの女&カルメン
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団という黄金コンビが遺した素晴らしい名演だ。
特に、「アルルの女」の第1組曲及び第2組曲については、同曲随一の超名演と高く評価したい。
何よりも、演奏の持つ筆舌には尽くしがたいフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいに完全にノックアウトされてしまう。
クリュイタンスの指揮は、テンポの設計や間のとり方など、単にお国物というだけではない名人芸を披露している。
ビゼーのオーケストレーションが実に巧みであることもあって、どの演奏を聴いても、それなりにプロヴァンス地方の雰囲気を彷彿とさせるような味わい深い演奏をすることは可能であるが、クリュイタンスの表現はそもそも次元が異なる。
クリュイタンスは、やや遅めのテンポで丹念に仕上げながら、ビゼーならではの色彩感を格調高く引き出し、「アルルの女」の舞台となったのどかなプロヴァンスの雰囲気を色濃く表現している。
1音1音に独特の表情付けがあり、管楽器や弦楽器、そして打楽器に至るまで、そのすべてがセンス満点の響きに満たされているのだ。
それは他の演奏には聴かれない本演奏固有のものであり、あたかも演奏の端々から南仏の豊かな香りや空気感さえもが漂ってくるかのようだ。
これはクリュイタンスならではの表現世界と言えるところであり、永遠に光を失うことのない、歴史的な名演奏と言えよう。
これほどのセンス満点の名演は、クリュイタンス、そしてパリ音楽院管弦楽団としても会心の演奏であったと言えるのではないだろうか。
上昇管付きフレンチホルン、細管の金管、バッソンなど、生粋のフランスの音が花盛りであり、ビゼーの傑作をこんな音で聴く楽しさは筆舌に尽くせない。
これは失われたフランスの香りに満ちた超一流の名演で、まさにオーケストラのグローバル化が進む前の貴重な記録と言えよう。
他方、「カルメン」についてはクリュイタンスとしては普通の出来であると思うが、それでも名演と評価するのにいささかも躊躇しない。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。