2014年11月20日
チョン・ミュンフン&エーテボリ響のドヴォルザーク:交響曲第7、8番
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チョン・ミュンフンとエーテボリ交響楽団のドヴォルザークは、硬軟併せ持った相当おもしろい演奏と言って良い。
この録音のほぼ10年後にウィーン・フィルと再録音しているしているからよほど得意な曲なのだろう、すでに彼の美質がよく表れた1枚である。
第7番は、第8番と同傾向ながらより広がり感がある。
第1楽章は意志を持った堂々とした貫禄があり、それでいて肩に力が入りすぎず歌心もある。
奇を衒うことは無く、2年前の第8番よりも音楽の恰幅がよくなっているのは彼の成長の証である。
第2楽章も丁寧に歌われていて、オケの洗練されすぎない土や木の香りのする音が良く、小鳥のさえずりも聴こえる。
第3楽章も特徴あるリズムをしっかり捉えた演奏で、後半にどんどん熱を帯びてくる。
終楽章は高揚しており、ティンパニの合いの手は決まるが、暴力的に粗くならないのがチョン・ミュンフンの音楽知性。
ここを踏み込まないのをよしとするか否かで評価は分かれるが、エーテボリ響を指揮してここまで熱くした演奏は珍しい。
第8番は、第1楽章冒頭の主題が出るところから、演歌調というわけでなくのびやかさがある歌い回しで、こってりでなく切ない情感を込めて歌われる。
最初の沈み込む緊張感、次いで明るさへの逆転等、オペラ的というか、各部分のイキイキ、ナマナマで聴き手を引きつける。
主部は、音楽が自然な伸縮を繰り返し、楽想を大胆、鮮やかに描き分け、ドイツ的形式感とは異なる性質を強調している。
第2楽章もオペラ指揮者として活躍する彼の面目躍如。音楽が物語りしている感じであり、それもコテコテでなく一定の品格を持っている。
第3楽章も格調を落とす一歩手前まで歌うこのぎりぎり加減のセンスがある意味東洋的かもしれない。
終楽章はオケの素朴なパワーを引き出していおり、ティンパニにしっかりアクセントをつけさせ、表情は微に入り細を穿ったもので、テンポも絶妙に呼吸し、オケの力量もありやや線は細く、豪快な迫力というより爽やかに結ぶ。
録音は低音が軽くスケール感もほどほどという印象である。
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