2014年11月21日

ポゴレリチのスカルラッティ:ソナタ集(15曲)


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スカルラッティのソナタ集のピアノ演奏版には、ホロヴィッツの超弩級の名演がある。

それ故に、後に続くピアニストは、なかなかこの超名演の高峰の頂に登ることは出来なかったが、ついにホロヴィッツ盤に匹敵する名盤が登場した。

その名盤こそ、本盤のポゴレリチ盤である。

スカルラッティといえばホロヴィッツの抜きん出た演奏があるので、他の演奏を聴いても心揺さぶられることがなかったが、ポゴレリチには驚いた。

ポゴレリチは、ホロヴィッツと同様に、ラルフ・カークパトリックが付した番号順に演奏するという型どおりなことはしていない。

555曲もあるとされているソナタ集から、15曲をランダムに選んで、ポゴレリチ自身が考えた順番に並べて演奏している。

演奏も、卓越したテクニックをベースとして、力強い打鍵から情感溢れる抒情豊かな歌い方など表現の幅は実に広く、緩急自在のテンポ設定を駆使して、各曲の描き分けを完璧に行っている。

ポゴレリチは、すべての音を旋律のために機能させ、自分の音楽に徹することで難所を克服してみせる。

ホロヴィッツとこの演奏が現代ピアノによる代表的なものだと思うが、ポゴレリチ独特のアーティキュレーションがここではほとんどプラスに作用していて、そこはかとない哀愁まで感じさせるのは大したものだ。

それにしても、各曲の並べ方の何と言うセンスの良さ。

ランダムに選んだ各曲の並べ方には、一見すると一定の法則はないように見えるが、同一調を何曲か続けてみたり、短調と長調を巧みに対比して見せたりするなど、全15曲が有機的に繋がっており、前述のようなポゴレリチの卓越した演奏内容も相俟って、あたかも一大交響曲を聴くようなスケールの雄大さがある。

音響特性上、現代ピアノで表現不可能なスカルラッティのソナタの要素を完全に再構築した画期的な快演である。

これだけの超名演を聴かされると、他のソナタ集もポゴレリチの演奏で聴きたくなったのは、決して筆者だけではあるまい。

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classicalmusic at 22:35コメント(6)トラックバック(0)ポゴレリチ | スカルラッティ 

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コメント一覧

1. Posted by くまごろう   2017年04月18日 19:22
たびたび登場しております。
以前、ショパンの24の前奏曲を紹介していただき、これは!と思い聴いています。(いままでは、1953年のグルダがお気に入り。)

せっかくなので、またまた他のものも聴いていると、スカルラッティがよいなーと思いまして。
スカルラッティはリパッティが2曲くらい弾いていましたが、他はよく知りません。ウラディミールホロヴィッツは超有名なピアニストですが、ほとんど聴いたことがありません。スカルラッティ聴いてみます。
(1982年のホロヴィッツインロンドンのシューマンの子供の情景だけは、ピンポイントで好きです。音が悪いけど。)
2. Posted by 和田   2017年04月18日 21:31
私は最近ハイドンのピアノ・ソナタをよく聴いています。
かつて吉田秀和氏が「ハイドンのピアノ・ソナタは宝の山です」とおっしゃってましたが、まさしくその通りではないかと感じているところです。
ピアノはハイドンが生きた時代に発達しましたが、学者ショルンスハイムが作曲された年代に応じて、チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノを弾き分けた名盤があるので、ピアノ音楽好きのくまごろうさんに一聴をお薦めします。
3. Posted by くまごろう   2017年05月03日 23:32
タイムリーなオススメ!「ハイドンピアノソナタ全集」
バッハやスカルラッティを聴いていると、パイプオルガンやハープシコードに興味を持ち始め、鈴木雅明さんやトレバーピノックなどを聴いていました。
ハイドンピアノソナタ全曲を聴くのは初めてですし、ショルンスハイムさんも初めましてデス。今、作業をしながら曲を流していたのですが、この方
音を間違えないでツラツラ弾いていますねー。あと装飾音も華麗に弾いてます(笑)チェンバロって鍵盤軽いんですかね?
音色もいろいろで、途中ギターのようなチターのような音もあれば、木の硬い音のピアノのような音もあれば、最後の方は電子ピアノのような(個人の感想)音もある感じがしました。''宝の山''は長調の曲が多く、聴きやすいですよ。(スイマセン、ポゴレリッチさんのところに書き込んでしまいました。)
4. Posted by 和田   2017年05月04日 00:13
くまごろうさん、ドイツのチェンバリスト、そして音楽学者として活動を続けているクリスティーネ・ショルンスハイムが2003年から翌2004年にかけて完成させたハイドンのコンプリート・ワーク集を早速お聴き頂いて幸いです。
この録音に使われたピリオド楽器は総て歴史的なオリジナルか、あるいはその複製で、当然その楽器によって表現方法も異なっていることに既にお気づきですね。
比較的短期間に集中して録音されたこともあって、一貫した解釈と彼女の才気煥発で溌剌とした演奏が特徴で、楽器の特性をつぶさに捉えた音質の良さも特筆されます。
このセットのセールス・ポイントはそれぞれの時代にハイドンが実際に使用していたと判断される5種類の鍵盤楽器を選択して弾き分けていることで、彼女は学者としてもこのあたりをかなり詳細に研究しているだけでなく、楽器の音色に関しても鋭敏な感性を発揮してその時代の音の再現にも余念がありません。
例えばCD1−3では復元された二段鍵盤チェンバロ、CD4ではクラヴィコードの複製、CD5及び7は1777年制作の二段鍵盤を持つヒストリカル・チェンバロ、CD6、8−11は1793年製のハンマーフリューゲル、CD12と13は1804年製のハンマーフリューゲルという凝りようです。
しかし通して鑑賞してみると、この時代が鍵盤楽器にとっては大きな転換期であり、作曲家たちによって伝統的なチェンバロから強弱が漸進的に表現できる新しいタイプのハンマーフリューゲルにとって替えられていく過程も理解でき、鍵盤楽器の変遷史を耳で実体験できる貴重なサンプルとしての価値も高いものです。

5. Posted by くまごろう   2017年05月04日 23:32
ほっほー、勉強になりますー。
和田さんのこの詳しい解説を読みながら、ゆっくりショルンスハイムを聴いてみますね!ありがとうございます。

さて、音楽配信サービスに、自動的にオススメされたハイドンピアノソナタですが...シフ、リヒテル、ブレンデルなどなど...。和田さんの記事にブレンデルのハイドンのピアノソナタがあるので、これを聴こうと思います。
和田さんのカテゴリーは古い→新しい(生誕)順になっているので(今頃気付いてゴメンナサイ)次回からはそれにそってピアノ曲中心に聴いていくことにしたいと思います。m(_ _)mどうぞよろしくお願いいたします。
6. Posted by 和田   2017年05月05日 13:48
ブレンデルのハイドンはモダン楽器を用いたもので、ショルンスハイムのピリオド楽器のものと聴き比べるのは興味深いでしょう。
但し、ブレンデルのハイドンのページにかつて「ハイドンのソナタは出来映えにそうとうムラがある」と書きましたが、これはショルンスハイムの名演によって、見事に覆されてしまいました。
ブレンデルは11曲選んで録音しました。
現代楽器で聴く最も魅力的なハイドンであることは確かです。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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