2014年11月22日
ロストロポーヴィチ&リヒテルのベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集
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ベートーヴェンのチェロ・ソナタは、チェロ作品の新約聖書と称されている至高の傑作であるが、作曲年代がベートーヴェンの初期、中期、後期の広範に渡っている点も見逃すことができない。
第1番と第2番はベートーヴェンの最初期、そして最高傑作との呼び声の高い第3番は中期に差し掛かろうという時期、そして第4番と第5番は後期の作品だ。
チェロ作品の新約聖書と呼ばれているだけに、これまで数多くのチェリスト&ピアニストによって演奏され、名演と評価すべき録音も数多く存在しているが、そのような数々の名演の中で、燦然と輝いてる名演の玉座には、やはり、本盤のロストロポーヴィチ&リヒテルの黄金コンビによる名演を配するのが適切と言えるのではなかろうか。
フルニエ&ケンプを掲げる人も多いと思うが、筆者としては、演奏にかける気迫において、本盤の方をより上位に置きたい。
とにかくロストロポーヴィチ&リヒテルの隆盛期に当たる頃なので、大変剛毅なベートーヴェンの世界に、ある意味似つかわしい演奏を展開して両者の気迫が間近に感じられるようである。
基本的には骨太な中に繊細さを垣間見せるベートーヴェンを聴かせてくれるが、ロストロポーヴィチのチェロは雄渾にして壮麗。
我々聴き手の心を揺さぶる重厚な低音から、抒情的な箇所の熱い歌い方まで、どこをとっても切れば血が出てくるような力強い生命力に満ち溢れており、それらを駆使した超絶的な技巧も、精神性に裏打ちされて実に立派だ。
リヒテルのピアノも、ロストロポーヴィチのチェロをしっかりとサポートしつつ、単なる伴奏にとどまらず、強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで、表現の幅の広さに圧倒される。
これら両者のがっぷり四つの横綱相撲は、時として地響きを立てるようなド迫力であり、我々聴き手の度肝を抜くのに十分である。
おそらくは、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集の演奏史上最高の超名演であり、将来に渡っても、これを凌駕する名演が現れる可能性は殆ど皆無ではないかと考える。
個人的には本演奏が余りに骨太である為、時折これとは対照的なフルニエ&ケンプあたりの演奏で聴く時はあるが、とにかく座右には置いておきたい永遠の名盤である。
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