2014年11月25日
デュトワ&モントリオール響のファリャ:三角帽子、恋の魔術師、他
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情熱的なリズムや豊かな色彩感による、ファリャの出世作となった『恋は魔術師』や、卓抜な管弦楽法が十全に発揮され、カスタネットを加えて華麗な演奏効果をもたらす『三角帽子』など、近代スペインの作曲家ファリャを代表する作品を集めたディスク。
この両曲には、アンセルメの超名演があって、どうしてもそれが忘れられないが、それに次ぐ名演は、このデュトワ盤だと思う。
ともに濃厚なスペイン色あふれる作品だが、この演奏に聴くカラーは、どちらかというとフランス的性格が強いかもしれない。
しかしながら、それはたいそう洗練されたセンスで用いられているので、効果たるや抜群で、少しもマイナス材料とはなっていない。
いすれもセンス満点の演奏で、スペインの異国情緒溢れる民俗的舞踊の世界がパノラマのように展開される。
明るい陽光がキラキラと輝いているような魅力を持ったファリャの演奏である。
曲のもつラテン的な色彩感が全編にあふれており、激しく燃え立つような熱狂的なリズムと、バレエのステージを彷彿とさせるような巧妙な演出が素晴らしい。
デュトワはオケを巧妙にコントロールし、リズムにみられるシャープな感覚や、ダイナミックスの鮮やかなコントラスト、そして豊かな色彩感などを見事に生かしながら、そのバレエ的要素を、ドラマティックに、しかも聴く音楽としての条件によく結びつけていて美しい仕上がりをみせている。
ファリャの印象主義的な一面をことさら強調したような表現だが、色彩感が実に豊かで全体が美麗そのもの。
デュトワの音楽性が、ストレートに感じられる、優れた名演に数えられるだろう。
デュトワが指揮するモントリオール交響楽団に女声の独唱も加わった、多彩な音色を駆使した鮮やかで変化に富んだドラマティックな押し出しの見事な演奏が、聴く者を魅惑的なスペインの世界へと誘う。
少しも土俗的でなく、しかもリズムが躍動し、サウンドが洗練されていて、エレガントで洒落ている。
デュトワの棒の冴えに感嘆するディスクで、特に『三角帽子』での引き締まった演奏は出色のものと言えよう。
こうしたファリャの音楽も、文句なく愉しいと言えるだろう。
モントリオール交響楽団のサウンドも洗練を極め、いかにも気品が高く、これだけのレベルに鍛え上げたデュトワの類い稀な統率力にも舌を巻くしかない。
デュトワとモントリオール交響楽団との関係が、録音当時きわめて好ましいものであったことを如実に示している出来映えと言えよう。
豊かな音楽性と、節度をわきまえた品のよいサーヴィス精神とが、まさに大きく結実したような演奏内容である。
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