2014年11月26日

ショルティ&シカゴ響のマーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



録音からすでに40年以上経過したが、今もって、当曲の最右翼に位置する名盤である。

ショルティ&シカゴ響のヨーロッパ公演の際におこなわれた録音で、史上最強といわれる豪華なキャストが話題になった。

ところで、日本のクラシック批評史上最大の汚点として決して忘れてはいけないのが、ショルティを不当に過小評価したことである。

日本のクラシック音楽評論家連中は、ドイツ精神主義を最高のものとして崇め奉るため、楽譜に忠実な指揮をするショルティを「精神性がない」「無機的」「血が通っていない」とことあるごとに貶していた。

クラシックを聴き始めた頃の筆者は、この批評を鵜呑みにしてショルティを無視してしまった。

それが大間違いであったことに気が付いたのが10年近く経った頃であった。

以来、筆者はショルティを貶した評論家連中を信用しないようにしている。

そのように、ショルティは実力の割には過小評価されている大指揮者だと思うが、このマーラーを聴くと、大規模なオーケストラや合唱団を意のままに統率する類稀なるショルティの力量を思い知らされる。

マーラーの交響曲の中でも、「第8」は個人的な主観に左右されにくい作品なので、ショルティの客観的なアプローチに一番しっくりくるのかもしれない。

もちろん、演奏のほうも素晴らしいもので、大作とはいえ、流動的な構造の第2部、がっちりと構造的に仕上げるなど、いつもながらのショルティの造型志向はここでも健在。

第2部とは対照的に構造的求心性の強い第1部では、持ち前のダイナミックなアプローチが好を奏し、いたるところに爽快な山場がつくられていてとにかく快適。

ショルティはバーンスタインのように感情移入やテンポの激変することはしないで楽譜に忠実に指揮している。

しかし、ショルティの凄いところは1音も無駄にすることなくしっかりと明瞭な音を鳴らしているところである。

しかも、音に色彩感があり彫りが深く、オーケストラ、ソリスト、合唱を見事にコントロールして最高の音楽を引き出している。

独唱者は見事に粒よりで、女声は完璧、男声では、何といってもコロの絶唱!力強い美声を惜しみなく披露し、第2部ではテキストのとおり、陶酔した最高のマリア崇拝の博士が聴ける。

ショルティは実に力強くオケとコーラスを引っ張り、遅滞も乱れもなく完璧な音響表現を成し遂げた。

第1部よりも第2部が一層鮮やかで、全演奏者が本当に1つになって頂点を目指すような、セッションレコーディングにおいても稀有な成果と言えよう。

ただ演奏するだけでも人手も経費の面でも大変な曲なのだが、録音、オケの技術、歌手陣、音、全部考えうる最高の演奏だと思う。

録音も極上で、最初のオルガンの音1つにしても神秘の合唱の銅鑼一発にしても最高、オーディオ的満足度の高さも相当なものがある。

聴き手は、今は無きゾフィエンザールの広大な空間に、全盛期のショルティ&シカゴ響がその超絶的なパワーを注いで鳴り響いたゴージャスな音響を、これも円熟期のK・ウィルキンソンが世界最高の録音技術をもってホールの空間ごと切り取ったスペクタクルサウンドにただ唖然とすることしか許されない。

現在でもあらゆる要素において、最高水準のスタンダードと言えるところであり、マーラーの「第8」の数々のCDの中でもトップを争う名盤だと思う。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 01:15コメント(0)トラックバック(0)マーラー | ショルティ 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ