2014年11月26日
ワルター&コロンビア響のブラームス:交響曲第1番/大学祝典序曲/悲劇的序曲
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ワルターについては、フルトヴェングラーやトスカニーニ、メンゲルベルクといった他の4大指揮者と異なり、ステレオ録音が開始された時代まで生きたただ1人の巨匠指揮者である。
それ故に、音質が良いということもあって、ワルターによる演奏を聴くに際しては、最晩年の主としてコロンビア交響楽団とのスタジオ録音盤を選択するケースが多い。
したがって、最晩年の穏健な芸風のイメージがワルターによる演奏には付きまとっていると言えるが、1950年代前半以前のモノラル録音を聴けば、それが大きな誤解であるということが容易に理解できるはずだ。
本盤に収められたブラームスの交響曲第1番の演奏は、コロンビア交響楽団との最晩年のスタジオ録音ではあるが、1950年代前半以前のワルターを思わせるような、トゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力を有した力感溢れる演奏に仕上がっている。
ワルターを穏健派の指揮者などと誤解をしているクラシック音楽ファンにとっては、度肝を抜かれるような力強い演奏といえるかもしれない。
もちろん、第2楽章や第3楽章の心を込め抜いた情感豊かな表現は、いかにも最晩年のワルターならではの温かみを感じさせる演奏であるが、老いの影などいささかも感じられないのが素晴らしい。
そして、終楽章は、切れば血が吹き出てくるような生命力に満ち溢れた大熱演であると言えるところであり、とても死の3年前とは思えないような強靭な迫力を誇っている。
カップリングされている悲劇的序曲と大学祝典序曲もワルター渾身の力感漲る名演。
特に、大学祝典序曲など、下手な指揮者にかかるといかにも安っぽいばか騒ぎな通俗的演奏に終始してしまいかねないが、ワルターは、テンポを微妙に変化させて、実にコクのある格調高い名演を成し遂げているのは見事というほかはない。
コロンビア交響楽団は、例えば、ブラームスの交響曲第1番の終楽章におけるフルートのヴィブラートなど、いささか品性を欠く演奏も随所に散見されるところではあるが、ワルターによる確かな統率の下、編成の小ささをいささかも感じさせない重量感溢れる名演奏を披露している点を高く評価したい。
DSDマスタリングとルビジウム・クロック・カッティングによる高音質化も著しい。
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