2014年11月27日

ルービンシュタイン&バレンボイムのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、第2番


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ルービンシュタインは、3度にわたってベートーヴェンのピアノ協奏曲全集をスタジオ録音している。

ルービンシュタインはポーランド出身ということもあって、稀代のショパン弾きとしても知られてはいるが、前述のように3度にわたってベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音したことや、生涯最後の録音がブラームスのピアノ協奏曲第1番であったことなどに鑑みれば、ルービンシュタインの広範なレパートリーの中核を占めていたのは、ベートーヴェンやブラームスなどの独墺系のピアノ曲であったと言えるのかもしれない。

本盤に収められたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」は、ルービンシュタインによる3度目のピアノ協奏曲全集(1975年)からの抜粋である。

最初の全集であるクリップス&シンフォニー・オブ・ジ・エアとの演奏(1956年)や、2度目の全集であるラインスドルフ&ボストン交響楽団との演奏(1963年)と比較すると、本演奏は88歳の時の演奏だけに、技量においてはこれまでの2度にわたる全集の方がより優れている。

しかしながら、本演奏のゆったりとしたテンポによる桁外れのスケールの大きさ、そして各フレーズの端々から滲み出してくる枯淡の境地とも言うべき奥行きの深い情感の豊かさにおいては、これまでの2度にわたる全集を大きく凌駕していると言えるだろう。

このような音楽の構えの大きさや奥行きの深さ、そして格調の高さや風格は、まさしく大人(たいじん)の至芸と言っても過言ではあるまい。

特に、同曲の緩徐楽章の深沈とした美しさには抗し難い魅力があるが、その清澄とも言うべき美しさは、人生の辛酸を舐め尽くした巨匠が、自らの生涯を自省の気持ちを込めて回顧するような趣きさえ感じられる。

これほどの高みに達した崇高な音楽は、ルービンシュタインとしても最晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地と言えるのかもしれない。

ルービンシュタインの堂々たるピアニズムに対して、バレンボイム&ロンドン・フィルも一歩も引けを取っていない。

バレンボイムは、ピアニストとしても(クレンペラーの指揮)、そして弾き振りでも(ベルリン・フィルとの演奏)ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音しているが、ここではルービンシュタインの構えの大きいピアニズムに触発されたこともあり、持ち得る実力を存分に発揮した雄渾なスケールによる重厚にして渾身の名演奏を展開しているのが素晴らしい。

いずれにしても、本盤に収められたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の演奏は、同曲の演奏史上トップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。

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classicalmusic at 00:33コメント(2)トラックバック(0)ルービンシュタイン | バレンボイム 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2016年01月08日 18:07
今年もよろしくお願い致します。自分は、クリップス指揮シンフォニー・オブ・ジ・エアの演奏の方が、好みです。シンフォニー・オブ・ジ・エアのアンサンブルは、クリップスのブルックナーを聴く限り、60年代のNYPよりも、ライブのハンデをつけても、ワンランク上をいくもので、ヴィーン訛りも伝わってきますし。NYPには訛りなしが大減点でしたので。これぞDer Kaiserと言いたくなるような豪放磊落かつ華麗で、筋骨隆々したところが皇帝の中の皇帝と言いたくなりますね。バレンボイムは聴きましたが、このテンポが、横綱急に重くて、個人的にはその点が、合わないようです。しかし、このテンポがもたらすスケールの大きさ、緩徐楽章の美しさは、1番に思えてきます。格調高さ、風格は個人的には甲乙つけがたいです。ラインスドルフを聴いたらまた感想が変わるかもしれません。
2. Posted by 和田   2016年01月08日 19:26
Kasshiniさん、今年もよろしくお願いします。
さて、私にとっては、シンフォニー・オブ・ジ・エアというオーケストラは、トスカニーニが亡くなってから、ワルターの「エロイカ」を除いてはあまりいい印象がありません。
トスカニーニが率いていた頃のNBC交響楽団と比べると魂が抜けた腑抜けのようで、響きに粗さが目立ちます。
また、この曲にウィーン訛りを求められるならば、本家本元のバックハウス&クラウス&ウィーン・フィル盤がベストではないかと。
私はバレンボイムの指揮には大満足しています。呼吸が深く、この頃のバレンボイムとしては異例の巨匠的風格が漂っていて、これは明らかにルービンシュタインの大人の芸に影響を受けたものと言えるでしょう。
ルービンシュタインのピアノも旧盤に比べて、明らかに優れていると思います。ラインスドルフと組んだ演奏も非常な名演奏でしたが、新しいバレンボイムとの共演盤と比べると月とスッポンぐらい違うとさえ思います。
88歳の大巨匠ルービンシュタインは更なる進歩を続けていて、停滞やマンネリズムとは無縁、ベートーヴェンが書いた1つ1つの音符がこれほど目に見えるように弾かれた例は他にないでしょう。
若い頃は道楽と放蕩三昧で、ただのテクニシャンに過ぎなかったというルービンシュタインは、最晩年に至って大芸術家に大成しました。
私としては、バックハウスやアラウをも凌駕する人類の至宝的超名盤だと格付けしています。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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