2014年11月29日
C・デイヴィスのブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」
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長年に渡って、作曲者の自演盤と並ぶ名演と称されてきた、ヴィッカーズらの快演が光るコリン・デイヴィスの名盤である。
ブリテンは、パーセルの主題による変奏曲とフーガ(青少年のための管弦楽入門と称されているが、作品の質の高さからしてもこの呼称は全く気に入らない)だけがやたら有名であり、他は、近年小澤による渾身の名演によって知られるようになった戦争レクイエムを除けば、殆どの作品はあまり知られているとは言い難い。
ブリテンは、交響曲や管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、そして声楽曲など多岐に渡る分野の作品を数多く遺しているが、その真価は何と言ってもオペラにあるのではないだろうか。
これは、ブリテンと同じ英国出身の大指揮者であるラトルなども同様の見解を表明しており、20世紀を代表するオペラとしてもっと広く知られてもいいのではないかとも考えられるところである。
ブリテンは、10作を超えるオペラを作曲しているが、その中でも名実ともに傑作であるのは本盤に収められた「ピーター・グライムズ」であるというのは論を待たないところだ。
ピーター・グライムズという問題児に冤罪の濡れ衣を着せて、多数の人々によって自殺を強要されるという、いかにも20世紀的なテーマを扱っているが、ブリテンはこうしたストーリーに組曲「4つの海の間奏曲」や「パッサカリア」などに編曲されるほどに魅力的で親しみやすい管弦楽を付加して、実に奥深い内容を有した作品に仕立て上げている。
同曲の名演としては、ブリテンによる自作自演とデイヴィスによる本演奏が双璧にある名演として掲げられる。
オーケストラや合唱団は同じくコヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団と同合唱団だ。
ブリテンは、作曲者であるとともに指揮者としても相当な実力を有しており、同曲の演奏においても作曲者としての権威はいささかも揺るぎがないが、デイヴィスの指揮もその統率力といい、彫りの深さといい、ブリテンに決して引けを取っているとは言い難い。
両演奏の大きな違いは、主人公であるピーター・グライムズ役であり、骨太なジョン・ヴィッカーズに対して、抒情的なピーター・ピアーズと言ったところではないだろうか。
したがって、後は聴き手の好みの問題であると言えるところであり、その他の歌手陣も最高の歌唱を披露しているのも素晴らしい。
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