2014年12月04日
舘野泉のグリーグ:抒情小曲集
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グリーグの抒情小曲集は、メンデルスゾーンの無言歌集と並んで、ロマン派の2大名小品集と言えるだろう。
グリーグが、ほぼ生涯にわたって作曲し、折々の着想をスケッチ風に書きとめ続けた全10集、計66曲にも及ぶ荘大な小品集は、北欧の詩情が詰まったまさに宝石箱である。
どの作品にも、北欧の大自然を彷彿とさせる美しい抒情に満ち溢れており、グリーグの巧みな作曲技法の下、珠玉の芸術作品に仕上がっている。
本盤が特徴的なのは、有名な小曲を抜粋するのではなく、作品集を抜粋(4集)したところにある。
メンデルスゾーンの無言歌集同様、これはお互いに関係のない小品を集めた作品集である。
こじんまりと完結したその世界を、大げさな身振りによらず、適度に客観的な眼差しをもって演奏しているところに、舘野泉の節度ある姿勢を感じることができよう。
いずれも、北欧のピアノ音楽のスペシャリストである舘野泉ならではの名演であるが、抒情小曲集の中でも最高傑作との呼び声の高い第5集は、特に圧巻の出来栄えだ。
「羊飼いの少年の抒情」はなんとも美しいし、「ノルウェイ農民の行進曲」は、あたかも眼前に、短い夏を終え収穫期を迎えた北欧の農民による秋祭りが行われているかのような、力強くも喜び見満ち溢れた表情を見せる。
「小人の行進のリズミカルな動き」も、卓越した技量も相俟って、至高の超名演と言える。
締めくくりの「鐘の音の憂いに満ちた抒情」は、これぞグリーグとも言うべき至純の芸術性を湛えている。
全曲の中で最もスケールの大きい「トロルドハウゲンの婚礼の日」も、緩急自在のテンポ設定を駆使した演出の巧さが光る名演だ。
北欧ピアノ音楽の第一人者、舘野泉の鮮烈な演奏からは、スカンジナヴィアの爽やかで清らかな風の音が聴こえてくるかのようだ。
HQCD化によって、音質がより一層鮮明になったのも素晴らしい。
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