2014年12月04日
デュトワ&バイエルン放送響のオネゲル:交響曲全集、他
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21世紀を担う名指揮者のひとりであるシャルル・デュトワが、祖国スイスの大作曲家オネゲルの代表作を、ドイツの名門オーケストラであるバイエルン放送響と録音したアルバム。
戦争の暴力にさいなまれた人々の苦悩を描きつつ、光明ある未来を求めた5つの交響曲(国内盤では唯一の全集)に、機関車を愛したオネゲルの微笑ましい素顔が偲ばれる「パシフィック231」などを加えて、オネゲルの音楽の真髄がデュトワの鮮やかなタクトさばきによって描かれている。
「オネゲル交響曲全集」の基準として語られるべきセットと言えるところであり、デュトワとバイエルン放送響という取り合わせの妙の勝利である。
デュトワはこれらの曲を、透明なしなやかさとも言うべき若々しい流動感をもって表現する。
どの曲もきわめて純粋で、この上なく音楽的であり、ナイーヴであると同時に知的。
オネゲル独特の対位法的書法も見事に音化されており、この作曲家特有の精神性の深さが自然に表出されている。
デュトワの卓越したオーケストラ・コントロールについては、モントリオール響との実演や録音でも明らかだが、ここでも、「これしかない!」というバランス、リズム感をオーケストラから引き出していて見事なのである。
デュトワの棒に応えるバイエルン放送響も素晴らしい。
ドイツらしい堅牢さ、重厚さを基調としながらも、放送局のオーケストラとしての柔軟さや自由があり、まさに「ラテンとゲルマンの融合」であるオネゲル作品に理想の音を提供しているのである。
アンサンブルも良いが、個人技も素敵で、特に「典礼風」の第2楽章における、フルートの濃密なには、心が痺れる。
「パシフィック231」と「ラグビー」は標題音楽というより絶対音楽に近い表現で、デュトワらしく、リズミカルな演奏が秀逸で、必要以上に重たくならず実に聴きやすいと思う。
SHM−CD化によって、さらに音質の鮮度が増しており、本名演の価値を高めることに大きく貢献している。
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