2014年12月06日

ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデンのR.シュトラウス:管弦楽曲全集第2集[SACD]


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EMIがここ数か月に渡って発売している一連のシングルレイヤーによるSACD盤の中でも、ルドルフ・ケンぺ&シュターツカペレ・ドレスデンによるR.シュトラウスの管弦楽曲全集は、名実ともに最高峰の歴史的名盤と言えるのではないだろうか。

ケンぺは、ほぼ同世代の指揮者であった帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンが、ベルリン・フィルなどとともに豪壮華麗な演奏を繰り広げたことや、膨大な数のレコーディングを行うなど、華々しい活躍をしていたこと、そして指揮者としては、これから円熟の境地を迎えるという時に急逝したこともあって、現在においても比較的地味な存在に甘んじている。

芸風は異なるものの、職人肌という点においては共通している先輩格のカール・ベームが、当時隆盛期にあったイエローレーベル(DG)に、ウィーン・フィルとともにかなりの点数の録音を行ったこと、そしてケンペよりも長生きしたことも、そうしたケンペの地味な存在に甘んじているという状況に更なる拍車をかけているとも言えるだろう。

しかしながら、ケンペの存命中は、帝王カラヤンの豪壮華麗な演奏に対置する、いわゆるドイツ正統派の質実剛健な演奏をする指揮者として、ケンペはベームとともに多くのクラシック音楽ファンに支持された指揮者であった。

そのようなケンペの偉大さは、昨年ESOTERICからSACD盤(限定盤)が発売されて話題となったミュンヘン・フィルとのベートーヴェンの交響曲全集や、数年前にXRCD盤が発売されたミュンヘン・フィルとのブラームスの交響曲全集、ブルックナーの交響曲第4番及び第5番などと言った名演にもあらわれているところである。

しかしながら、これらの名演を大きく凌駕するケンペの最高の遺産が存在する。

それこそは今般、本セットを含め3つのセットに分けた上で、シングルレイヤーによるSACD化(全部でSACD10枚)がなされて発売されるR.シュトラウスの管弦楽曲全集であるというのは、おそらくは衆目の一致するところではないだろうか。

本管弦楽曲全集には、2つの交響曲はもちろんのこと、主要オペラからの抜粋なども収められており、まさに空前にして絶後のスケールを誇っていると言っても過言ではあるまい。

ケンペによるR.シュトラウスの各楽曲へのアプローチは、例えば同じくR.シュトラウスの楽曲を十八番としていたカラヤンのように、豪華絢爛にして豪奢なものではない(かかる演奏も、筆者としては、あり得るべきアプローチの一つとして高く評価している)。

むしろ、演奏の様相は、質実剛健そのものであり、いかにもドイツ正統派と称された指揮者だけに、堅牢な造型美と重厚さを持ち合わせたものと言える。

かかる演奏は、R.シュトラウスと親交があり、その管弦楽曲を十八番としていたベームによる演奏と共通しているとも言えるが、ベームがいい意味においては剛毅、悪い意味ではあまり遊びの要素がない四角四面な演奏とも言えるのに対して、ケンぺの演奏には、カラヤンの演奏にようにドラマティックとは言えないものの、より柔軟性に富んだ劇的な迫力を有している言えるところであり、いい意味での剛柔のバランスのとれた演奏ということができるだろう。

本盤には、R.シュトラウス管弦楽曲全集第2集として、交響詩「死の変容」、「ドン・キホーテ」、「英雄の生涯」や劇音楽「ばらの騎士」からのワルツ、そして一般には殆ど知られていないランソワ・クープランのハープシコード曲による舞踏組曲が収められている。

いずれも前述のようなケンぺの芸風が如実にあらわれた剛柔のバランスのとれた素晴らしい名演と高く評価したい。

交響詩「ドン・キホーテ」のチェロの独奏を担当しているポール・トルトゥリエの演奏も、実に魅力的なものと評価したい。

そして、このようなクラシック音楽レコーディング史上の歴史的な遺産とも言うべきケンぺ&シュターツカペレ・ドレスデンによるR・シュトラウスの管弦楽曲全集が、未使用のオリジナル・アナログ・テープを基にシングルレイヤーによるSACD化がなされたのは、近年稀にみる壮挙とも言うべきである(協奏曲集が対象にならなかったのはいささか残念であり、それは別の機会を待ちたい)。

長らく国内盤では廃盤であり、輸入盤との比較になるが、音質の鮮明さ、音場の拡がりなど、どれをとってもそもそも次元が異なる圧倒的な音質に生まれ変わった。

1970年代初のスタジオ録音であるにもかかわらず、ドレスデン・ルカ教会の豊かな残響を生かした名録音があたかも最新録音であるかのように変貌したのは殆ど驚異的ですらあると言えるだろう。

いずれにしても、このような歴史的な名盤を、現在望み得る最高の高音質で味わうことができるようになったことを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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