2014年12月26日
ヤナーチェクSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番・第2番[SACD]
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本盤にはヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番及び第2番が収められている。
ヤナーチェクと言えば、数年前まではスメタナやドヴォルザークの陰に隠れたチェコ出身の知る人ぞ知る作曲家という地位に甘んじていたところであるが、村上春樹氏のとある小説が大ブレークしてからは、その知名度は大きくアップしたと言えるところだ。
もちろん、小説にも採り上げられていたシンフォニエッタがダントツに有名であるが、ヤナーチェクはタラス・ブーリバをはじめ、合唱曲(特に、グラゴル・ミサ)やオペラ、そして室内楽曲などにも数多くの傑作を遺しているところであり、今後、これらの傑作が幅広く認知されることを大いに祈念したいと考えている。
ヤナーチェクが作曲した弦楽四重奏曲は、本盤に収められた第1番及び第2番のみであるが、これは20世紀に作曲された弦楽四重奏曲としては、バルトークやショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲に次ぐ内容の充実度を誇っていると言えるのではないだろうか。
これだけの傑作であるにもかかわらず、バルトークやショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲と比較すると、その録音の点数はいささか少ないと言わざるを得ない。
最近では、エマーソン弦楽四重奏団による名演などが登場するなど、好ましい傾向にもあるとは言えるが、いまだにチェコの弦楽四重奏団の演奏が幅を利かせている現状を打破するには至っていない。
本盤に収められた演奏は、ヤナーチェク弦楽四重奏団が1963年に行ったスタジオ録音によるものだ。
「ヤナーチェク」を弦楽四重奏団の名に冠しているだけあって、演奏もヤナーチェクへの深い愛着を窺い知ることが可能な素晴らしい名演に仕上がっている。
チェコの弦楽四重奏団だけに、弦楽の音色の美しさには出色のものがあり、アンサンブルの緻密さも相俟って、まさに珠玉の名演奏を行っているとさえ言えるだろう。
この楽団にかかると、これらの楽曲の随所に見られる不協和音についても、いささかも美しさを失わないと言えるところであり、それでいて、畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力においてもいささかの不足はない。
また、ヤナーチェクは、モラヴィアの民謡を高度に昇華させてこれらの楽曲の随所に採り入れているが、これらモラヴィア風の旋律の情感豊かな歌わせ方には、まさに抗し難い魅力が満ち溢れている。
いずれにしても、本盤の演奏は、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲の演奏として最右翼に掲げられる名演であるとともに、同曲の美しさや魅力を安定した気持ちで味わうことが可能な演奏としても素晴らしい名演と高く評価したい。
音質は、1960年代のスタジオ録音ではあるが、比較的満足できるものであった。
しかしながら、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤が発売される運びになった。
本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤は、従来CD盤とはそもそも次元が異なる極上の高音質であり、音質の鮮明さ、音圧、音場の広さのどれをとっても一級品の仕上がりである。
いずれにしても、ヤナーチェク弦楽四重奏団による素晴らしい名演を、このような極上の高音質SACD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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